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パラレル

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森アーツセンターギャラリーで開催中の「CREVIA マチュピチュ展」でこれは、と思う作品、《羽根を縫い付けた長方形の装飾布》の主観レビューをお届けします。


本作は、コンゴウインコの羽根を無地の綿の布に縫い付けた装飾布です。

青と黄色の二色で水平に区切られた長方形になっていて、左右で上下の色が反転しています。

これは単なる装飾ではなく、宗教的・社会的に重要な意味を持つ工芸品であると思われます。

 

なぜ羽根で作られているのでしょうか。

鳥は空を飛ぶ存在です。

空は「神々・精霊の世界」です。

羽根は人間と神とつなぐ媒介であり、この布は祈りを神に届けるための装置なのではないでしょうか。

 

そして、色です。

青は、空や霊的世界を表し、黄色は、大地や生命を表しています。

つまり、天と地を表していると考えられます。

さらに、青と黄色は補色関係となり、互いを打ち消すのではなく、最も強く際立たせ合います。

 

また、左右で反転させています。

これは、天が地の上にある世界と、地が天の上にある世界、その両方を同時に成立させています。

人と神は上下関係ではなく、循環関係にあると解釈できます。

 

つまり、この布は、神と人間が対立しながらも、互いを必要として均衡を保つ宇宙の構造を、羽根と色で織ったものと言えるのではないでしょうか。


《羽根を縫い付けた長方形の装飾布》(ワリ文化 西暦600〜1300年) ラルコ博物館

 

森アーツセンターギャラリーで開催中の「CREVIA マチュピチュ展」でこれは、と思う作品、《神話上の動物を表現した彫刻》の主観レビューをお届けします。

本作が表現しているのは、アンデス神話に登場する神話上の動物です。

ワニのような口は冥界、鋭い牙はジャガーで人間界を表しています。

 

背中のトゲは段状山の記号で、天界、人間界、冥界の行き来を象徴しています。

そして、中央の丸は月を表しているのではないでしょうか。

月は人間の内側にある霊的世界と共鳴する天体と考えられていました。

この神獣の身体の中に月があるというのは、この存在が「外宇宙と内宇宙をつなぐ門」であることを示します。

 

つまり、背中の階段で天・地・冥界を移動し、腹の月で内なる霊界と外の宇宙をつなぐ存在になります。

ということで、この像はただの「怪獣」ではなく、「宇宙の構造そのものをかたどった神」と言えるのではないでしょうか。

《神話上の動物を表現した彫刻》(モチェ文化 西暦100〜800年) ラルコ博物館

 

森アーツセンターギャラリーで開催中の「CREVIA マチュピチュ展」へ行って来ました。

遠いアンデスの山々に抱かれた、天空都市マチュピチュ。

その神秘的ない文明が、今回東京に蘇ります。

アジア初公開となる本展では、「ラルコ博物館」より貸与された文化財約130点を展示しています。

古代アンデス文明の叡智や芸術を間近に体験できる、またとない機会となっています。

 

アンデスの人々は3つの世界が均衡を保ちながら共存しているという宇宙観を信じていました。

つまり、天空世界、現実世界、内なる世界という三層に重なる世界構造と、動物の力を借りて異界を自由に行き来するシャーマンの存在です。

これらは、自然・生命・死後の世界観を形成しています。

展示風景より

 

展示風景より

 

また、アンデス神話の中心的存在、英雄の「アイ・アパエック」の冒険と再生の物語を紹介しています。

彼が様々な動物に変身しながら異世界を旅するストーリーを追いながら展示を鑑賞するため、歴史に詳しくなくても物語として楽しむことができます。

展示風景より

展示風景より

 

古代アンデスでは、戦士たちの生贄が神に捧げられました。

その最大の目的は、神々に供物を捧げて、秩序と共同体の健全性を保つことでした。

捕虜たちは、神殿に上がることで、ひとつの世界から次の世界へ移行し、神々に捧げる血の守護者となるのです。

《戦闘と捕虜の捕獲》(モチェ文化 西暦100〜800年) ラルコ博物

《生贄の儀礼の杯》(モチェ文化 西暦100〜800年) ラルコ博物館

 

古代ペルーの貴族階級は、死後も強大な力を持つ祖先となり、共同体の安全と保護を保証しました。

彼らは、金銀の装飾品を身につけて埋葬されました。

金は太陽、銀は月を象徴し、支配者が神々の力を体現していたことを示しています。

展示風景より

展示風景より

 

本展は、モチェ文化の至宝が数多く展示され、古代アンデスの死生観や神話を深く掘り下げる内容となっています。

アンデス文明や考古学、歴史に興味のある方におすすめします。

 

 

 

 

会期:2025年11月22日(土)〜2026年3月1日(日)

会場:森アーツセンターギャラリー

開館時間:日〜木:10:00〜19:00(最終入館18:00)

       金・土・祝前日:10:00〜20:00(最終入館19:00)

休館日:なし

主催:マチュピチュ展実行委員会/NEON JAPAN株式会社

後援:在日ペルー共和国大使館

特別協賛:伊藤忠都市開発株式会社