東京国立近代美術館で開催中の「下村観山展」でこれは、と思う作品、《大原之露》の主観レビューをお届けします。
本作は、『平家物語』の一場面、「大原御幸」をもとにしています。
画面では、山里・大原で静かに暮らす建礼門院と大納言局が描かれています。
人物の視線は画面外に向いており、後白河法皇の突然の来訪を暗示しています。
両者とも、表情は固く警戒しています。
恐れやためらいといった、再会への複雑な感情も含まれています。
大納言局の前屈みになり、ゆっくり進む様子からも分かります。
動きの小ささが、逆に心理の大きさを表しています。
空はどんよりとしており、2人の心境を表しています。
霧がかった空気やくすんだ色調は、単なる風景ではなく、無常感・不安・過去の重さを象徴しています。
それは、警戒だけでなく、諦観や静かな受容を含んでいるようにも思われます。
そして、建礼門院の赤い花が画面を引き締め、緊張感を演出しています。
また、赤をかつての栄華・俗世と捉えると、それが今は小さく控えめにあると解釈できます。
つまり、過去の華やかさの名残とも読めます。
下村観山(1900)《大原之露》茨城県近代美術館





