三菱一号館美術館で開催中の「トワイライト、新版画ー小林清親から川瀬巴水まで」展でこれは、と思う作品、《両国花火之図》の主観レビューをお届けします。
画面中央には夜の川面が広がり、左右に屋形船や見物船が配置されています。
観客たちはシルエットとして描かれ、対岸には屋台や提灯の明かりが点在しています。
花火が上がり、水面に光がうつされています。
これは、本作の中心的な視覚効果です。
水面の反射は、空間の広がりと静けさを同時に生み出しています。
舟は斜めになっており、花火を観ながら喜ぶ観客の動きと呼応しています。
舟が水平でなく、斜めに配置されていることで、視線が花火へ導かれる、画面にリズムや動きが生まれる、という効果が出ます。
さらに、人物はシルエットながら、体の向きや姿勢から「見上げる動作」が感じられます。
一方、水面は穏やかで対立しています。
この対比によって、画面全体に緊張感とバランスが生まれています。
花火による光と闇の対立もあり、その違いが際立っています。
これはまさに小林清親の最大の特徴である「光線画」の本質です。
本作では、光と闇が強く対比され、しかもグラデーション的に溶け合っています。
小林清親(1880)《両国花火之図》スミソニアン国立アジア美術館





