三菱一号館美術館で開催中の「トワイライト、新版画ー小林清親から川瀬巴水まで」展でこれは、と思う作品、《明治十四年一月廿六日出火 両国大火浅草橋》の主観レビューをお届けします。
画面の大部分を占めるのは、空を斜めに走る赤い炎と煙です。
単なる風景ではなく、「災害のエネルギー」そのものが主役になっています。
風に煽られた火は大きく方向を変えており、炎の強さが連想されます。
炎には、赤の他、黒も混ざっており、何もかも焼き尽くしていると思われ、その破壊力の凄まじさが分かります。
一方、川は水平線が目立ち、穏やかな印象を受けます。
この対比によって、火の異常性、破壊の激しさがより強調される構造になっています。
また、川は単なる対比だけでなく、火から逃れる境界、一時的な安全の象徴とも読めます。
ただし画面では、川があっても火の勢いが圧倒的なので、「逃げてもなお迫る災害」という不安も感じさせます。
小林清親(1881) 《明治十四年一月廿六日出火 両国大火浅草橋》スミソニアン国立アジア美術館





