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パラレル

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CREATIVE MUSEUM TOKYOで開催中の「細田守の原点/展」でこれは、と思う作品、《芽の通り道》の主観レビューをお届けします。

本作は、細田守が金沢美術工芸大学在学中の1990年頃に制作された油彩作品で、映画監督として活動する以前の「原点」を示す作品群の一つです。

 

枝は細く、どこか頼りなく見えます。

画面の大部分を占める白は、雪や寒さを思わせ、植物にとって決して恵まれた環境ではないように感じられます。

そのような状況の中でも、枝は斜めに空に向かって伸び続けています。

 

さらに、枝先には芽のような表現も見られ、厳しい環境の中でも生命は成長を諦めず、未来への希望を宿していることを表しているように思えます。

細田守(1990)《芽の通り道》

 

CREATIVE MUSEUM TOKYOで開催中の「『時をかける少女』20周年記念 細田守の原点/展」へ行って来ました。

『時をかける少女』公開から20年。

アニメーション映画監督・細田守は、少女少年たちの成長の物語をアクションやユーモアを交えて描き、観客の胸を踊らせ、希望と力強さに溢れた未来へ走り出す意欲を届けてきました。

その作品群は日本国内にとどまらず、世界中で多くの観客を魅了しています。

同時に、演出・技法に至るまで新たなアニメーション表現を模索し続けるその姿勢は創作者たちを刺激し続けています。

 

本展では学生時代の自主制作作品から、数々のアニメーション演出を手掛けた東映動画(現:東映アニメーション)時代、映画監督として独立する『おおかみこどもの雨と雪』までを取り上げ、氏の手仕事の中に演出家・表現者としての原点を見出しています。

 

まずは、細田守の名前を世界に知らしめた『時をかける少女』のエリアです。

膨大な絵コンテが壁面展示され、キャラクターの細かな感情の動きが線から伝わってきます。

特に印象的なのは、真琴が時間を跳躍するシーンや、自転車で坂道を駆け降りるシーンの制作資料。

完成映像では一瞬で過ぎる場面も、実際には細かなカメラワークや演出指示が積み重ねられていることが分かります。

展示風景より

 

2009年公開、インターネット世界と大家族の絆を描いた『サマーウォーズ』のエリアは、空間をダイナミックに使った、お祭りのような賑やかさがあるゾーンです。

 

天井高5mの開放的な空間をフルに活かし、映画の舞台であるデジタル空間「OZ」が見事に立体化されています。

等身大フィギュアは細部まで作り込まれている一方、現実世界の「陣内家」の親戚たちの設定資料も細かく展示されており、デジタルとアナログが融合した作品の魅力を、展示の対比でも表現しています。

 

展示風景より

 

細田守が映画監督として世に出る前の「アマチュア時代」や「下積み時代」にもスポットが当てられています。

中学3年生の時にノートに描いた自主制作アニメーションや、金沢美術工芸大学時代の油絵作品、実写の映像作品など、少年時代・学生時代の瑞々しい感性に直接触れることができます。

 

まだ荒削りながらも、人物の感情を繊細に描こうとする姿勢はすでに確立されており、「才能が突然開花した」のではなく、長年積み重ねてきた試行錯誤の結果として現在の作品があることを実感できます。

展示風景より

 

2012年公開、おおかみおとことの間に生まれた子供を育てる母親の12年間を描いた『おおかみこどもの雨と雪』のエリアは、静かでどこか厳かな空気が漂います。

 

プロジェクション展示では、画面いっぱいに雪山を駆け回る子供達の命の躍動感が広がります。

背景美術の美しさも際立っており、細田監督がいかに「自然」という存在をリスペクトして描いているかが伝わります。

展示風景より

 

本展は、私たちがスクリーンで見上げていたあの美しい青空やキャラクターたちの躍動感が、どれほど緻密な計算と熱量によって生み出されたのかを追体験させてくれます。

作品ファンはもちろん、アニメーション制作の裏側に興味がある人にとってもおすすめな展覧会です。

展示風景より

 

 

 

 

 

会期:2026年6月20日(土)〜8月31日(月)

会場:CREATIVE MESEUM TOKYO

       〒104-0031 東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING6階

開館時間:10:00〜18:00(最終入館17:30まで)

       ※ただし、毎週金・土曜日および祝前日、8/11(火)〜8/14(金)は20:00閉館。(最終入館19:30)

       ※7/12(日)より毎週日曜日および祝日も20:00閉館。(最終入館19:30)

主催:CREATIVE MESEUM TOKYO、「細田守原点/展」東京実行委員

特別協力:ア・ファクトリー、絵映舎

輸送協力:TERRADA ART ASSIST

協力:TOKYO MX、メディコス・エンタテインメント

問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

 

 

上野の森美術館で開催中の「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」でこれは、と思う作品、《夜のカフェテラス(フォルム広場)》の主観レビューをお届けします。

本作は、アルルのフォルム広場に実在するカフェテラスを描いた作品で、夜景をテーマにしながらも黒色をほとんど使わず、鮮やかな青や黄色によって夜の美しさを表現しています。

 

ゴッホは、カフェを鮮やかな黄色、その周辺の夜空を深い青で描き、補色の対比によってカフェの明るさや温かさを強調しています。

このことから、夜の街で人々が集い、交流する生活の豊かさや活気を賛美しているように感じられます。

 

また、カフェ内部の人物は黒い色調のシルエットで描かれている一方、外を歩く人物には黄色い光が当たり、存在感が与えられています。

これにより、カフェだけでなく、街全体に生命感が

満ちていることが表現されているとも解釈できます。

 

さらに、進出色である黄色を画面手前に、後退色である青を奥の夜空に配置し、石畳の遠近法と組み合わせることで、自然で奥行きのある空間が生み出されています。

フィンセント・ファン・ゴッホ(1888)《夜のカフェテラス(フォルム広場)》クレラー=ミュラー美術館