松岡美術館で開催中の「笑い滴る 春と夏の日本画名品選」展でこれは、と思う作品、《春峡》の主観レビューをお届けします。
本作は、川合玉堂による《春峡》で、彼が得意とした「四季の自然」をテーマにした風景画の一つです。
険しい崖が聳え、桜や淡い紫色の山つつじが峡谷の春を彩り、山間に訪れた春を伝えています。
木々の傾きは同じような方向であり、その高さも似ています。
そこから、装飾的な印象を受けます。
川合玉堂は、写実だけではなく、画面のリズムや美しさを意識して構成する画家です。
ですので、単なる自然描写ではなく、「絵としての調和」を作っていると思われます。
そして、色彩の濃淡によって、遠近感を出し、視線は奥へと誘われます。
下段には、筏に乗った人がおり、季節の変化に関わらずいつも通りに働いています。
本作は、単なる風景画ではなく、自然と人間の関係を描いています。
これは、「季節のひととき」と「変わらない日常」の対比というより、自然の中に人が溶け込んでいると読めます。
筏の人物は小さく描かれ、自然のスケールの中に包まれています。
つまり、自然の移ろいの中に、変わらぬ人の営みが静かに溶け込む情景と言えるでしょう。
川合玉堂(1926)《春峡》松岡美術館






