《クリスマスの朝》@アンドリュー・ワイエス展 主観レビュー | パラレル

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東京都美術館で開催中の「アンドリュー・ワイエス展」でこれは、と思う作品、アンドリュー・ワイエス(1944)《クリスマスの朝》マイロン・クニン・コレクション の主観レビューをお届けします。

丘陵地帯に一人の人物が横たわっています。

人物は顔をこちらに見せず、白い布で頭を覆っているようにも見えるため、生者なのか夢見る人なのか、あるいは死や眠りの象徴なのか判然としません。

ワイエス特有の「説明しすぎない」構図によって、観る者は物語を想像することになります。

 

本作は、知人の女性が亡くなったことを知り、記憶を頼りに描いた者です。

横たわる女性の足元から白い煙のようなものに変化しています。

まるで女性の魂が移動しているみたいです。

頭上の枝は枯れ、作品の明度は低いことも死を連想させます。

白い煙は遥か遠くへと流れていき、ここではないどこか、二度と会うことは出来ないということを表しています。

 

画面では、女性の輪郭がそのまま道や霧状の白へ溶け込んでいくように見えます。

これは単なる地形表現とも読めますが、肉体は霧・雪・空気へ変化し、個人は風景へ吸収され、存在は消失するという連想を自然に生みます。

 

また、ワイエスは劇的な悲嘆を描くのではなく、静かに消えていくもの、手の届かなくなった存在、記憶の中だけにある気配を描く画家です。

ですので、「ここではないどこか、二度と会えない場所へ流れていく」という解釈を導くことができます。