スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき | パラレル

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東京都美術館で開催中の「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展へ行って来ました。

1870年代後半からスウェーデンの多くの若い芸術家たちは、芸術の中心地であったフランスへ赴き、新たな芸術の潮流に触れるなかで、人間や自然をありのままに描くレアリスムに魅了されました。

やがて彼らは故郷スウェーデンへ戻ると、自国のアイデンティティを示すべく「スウェーデンらしい」芸術の創造を目指すようになります。

厳しくも豊かな自然や北欧ならではの光、そして身近な人々との暮らしの中にあるささやかな喜びースウェーデンの画家たちはこうした「日常のかがやき」に描くべきモティーフを見いだし、親密で情感をたたえた表現で描き出しました。

 

本展は、スウェーデン美術の黄金期に焦点を当て、その展開を体系的に紹介する、日本で初めての展覧会です。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

第1章 スウェーデン近代絵画の夜明け

第2章 パリを目指してーフランス近代絵画との出会い

第3章 グレ=シュル=ロワンの芸術家村

第4章 日常のかがやきー”スウェーデンらしい”暮らしのなかで

第5章 現実のかなたへー見えない世界を描く

第6章 自然とともにー新たなスウェーデン絵画の創造

 

第1章では、スウェーデンの風景や自然がどのように描かれてきたのかに焦点が当てられます。

19世紀の画家たちはドイツやフランスの様式を学びながらも、帰国後は自国の湖や森、長い冬の風景へと視線を向けました。

1857年に帰国したエードヴァッド・バリは、ドラマティックな自然の描写から、スウェーデンらしい湖水地方の穏やかな風景へと作風を変化させていきました。

 

第2章では、パリで近代絵画を学び、帰国後は自国の淡く澄んだ光を独自の表現として確立した画家たちを紹介しています。

1870年代後半より、スウェーデンの多くの若い芸術家たちは、新たな表現や価値観、それに見合った専門的な指導を求めて、パリへ向かいました。

当時のパリは、印象派など、新しい芸術の潮流を体感できる格好の場所でした。

特に彼らが魅了されたのは、自然主義やレアリスムであったといいます。

 

第3章では、パリ郊外にあるグレ=シュル=ロワンの芸術家村で戸外制作により描かれた作品が紹介されています。

同村は、スウェーデンの画家たちが拠点とし、日本人も含めた外国人芸術家たちに親しまれました。

とりわけ、カール・ノードシュトゥルムとカール・ラーションにとって、同村の経験は忘れ難いものとなり、ノードシュトゥルムは、銀灰色にかすんだ陽光に包まれる自然の風景や、婚約者の姿を、ラーションは、繊細な光とみずみずしい空気に満ちた風景を描き出しました。

 

第4章では、フランスから帰国したスウェーデン画家たちが、「スウェーデンらしい」新たな芸術を模索する様をたどっています。

彼らは、最も身近な存在である家族との暮らしや、制作をともにする気の置けない仲間たちの姿に目を向け、その飾らない様子を親しみやすい表現で描きました。

なかでも、カール・ラーションは「スウェーデンらしい暮らし」のイメージを作り出し、妻のカーリンと共に暮らした「リッラ・ヒットネース」室内の装飾や日々の出来事、季節ごとの行事などを生き生きと描写しました。

カール・ラーション(1901)《カードゲームの支度》スウェーデン国立美術館

 

第5章では、目の前の事物を客観的に描写するよりも、感情や気分といった自身の内面の世界を表現する芸術へと関心を移していった画家たちの作品を紹介しています。

アーンシュト・ヨーセフソンは、北欧の伝承に基づく空想上の存在を描き、孤高の芸術家像と、孤独と不安に苛まれる自らの姿を重ね合わせ、物語世界と自らの精神世界の統合を試みました。

アーンシュト・ヨーセフソン(1882)《水の精(ネッケン)》スウェーデン国立美術館

 

第6章では、森や湖、山岳地帯、岩礁の続く海岸線など、スウェーデンらしい風景が改めて「発見」され、それを描くにふさわしい表現が模索された時代の作品が紹介されています。

こうした風景表現において重視されたのは、風景を通して感情や雰囲気を伝えることでした。

その役割を担ったのが、北欧に特有の黄昏時や夜明けの淡く繊細な光です。

こうした芸術潮流は「ナショナル・ロマン主義」と呼ばれ、スウェーデンの自然を描き出す風景画に新たな思想的基盤と方向性を与えることとなりました。

オーロフ・アルボレーリウス(1893)《ヴェストマンランド地方、エンゲルスバリの湖畔の眺め》スウェーデン国立美術館

エウシェーン・ヤーンソン(1895)《5月の夜》スウェーデン国立美術館

 

本展は、派手な展覧会とは違い、静かな余韻が長く残ります。

強烈なドラマよりも、日常の中に潜む光を見つける喜び。

鑑賞後、上野公園の風景まで少し違って見える気がする、そんな体験ができるはずです。

 

 

 

 

会期:2026年1月27日(火)〜4月12日(日)

会場:東京都美術館

   〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36

開室時間:9:30〜17:30

   ※金曜日は20:00まで

   ※入室は閉室の30分前まで

休室日:月曜日、2月24日(火)

   ※ただし2月23日(月・祝)は開室

主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NHK、NHKプロモーション、東京新聞

協賛:DNP大日本印刷

後援:スウェーデン大使館

特別協力:スウェーデン国立美術館

協力:全日本空輸、ルフトハンザ カーゴ AG

企画協力:S2

お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)