アーツ前橋で開催中の「向井山朋子 Act of Fire」展でこれは、と思う作品、《ここから》の主観レビューをお届けします。
壁一面に投影された、揺らぐ影や映像。
光が当たることで浮かび上がる、曖昧な輪郭。
それははっきりとした像ではありません。
タイトル《ここから》には、ここから先に進む、しかし同時にここまで来てしまったという、感覚も含んでいます。
つまり、「希望」を直接描いているわけではありませんが、それでも、ここから生きていくしかない、という人間的な地点を示しています。
また、本作からは静止ではなく、「ゆらぎ」が感じられます。
これは、本作が「完成された作品」ではなく、“変化し続ける状態“そのものを展示しているからです。
以上のことから、本作ではこのように言っているのではないでしょうか。
すべてを失っても、それでも“ここ“には立っている。ならば、ここからしか始められない。
向井山朋子(2025)《ここから》


