東京ステーションギャラリーで開催中の「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展へ行って来ました。
ジャン=ミッシェル・フォロンは、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとりです。
フォロンはベルギーの首都ブリュッセルに、3人兄弟の長男として生まれました。
印刷業を営む父は、幼い頃からいつも絵を描いていた息子に建築を学ばせようとしますが、アーティストへの夢を捨てきれないフォロンは、21歳で故国を飛び出し、パリ近郊でひたすらドローイングを描き続ける生活を送ります。
5年後、その作品はアメリカの有名雑誌を飾ることとなり、そこからフォロンの名は一気に世界へと羽ばたいていきます。
様々なアーティストや作家、画廊主やディレクターなどとの出会いは、彼の創造活動に豊かな広がりと彩りを与え、本の挿絵から企業・団体のポスター、公共空間の壁画や装飾まで、また技法も墨からカラーインク、水彩、版画、写真、オブジェ、後半には彫刻までを手がけるに至りました。
アニメーションや映画、舞台美術などにも発揮された才能は、まさに希代のマルチアーティストと呼ぶにふさわしいものでした。
そんなフォロンが自ら空想旅行の案内人と名乗っていた背景には、自身の作品を通じて、人々を時空を超えた自由な旅へ誘いたいという思いがありました。
空想の力をもってすれば、世界中どこへでも、宇宙にさえも、旅をすることができる。
そして、そこで起きていることを見聞きし、同じ生をわかちあう自然や人間に心を寄せることができる。
フォロンの空想旅行は絵空事ではなく、この世の現実を観察し、理解し、よりよく生きるための手がかりを探す旅なのです。
展覧会の構成は以下の通りです。
プロローグ 旅のはじまり
第1章 あっち・こっち・どっち?
第2章 なにが聴こえる?
第3章 なにを話そう?
エピローグ つぎはどこへ行こう?
展覧会のコンセプトは、様々な緊急問題に対する意識を高めるため、作品から投げかけられた一連の質問に基づいています。
旅はフォロンの代表的なイメージとの出会いから始まり、「あっち・こっち・どっち?」と問います。
次の章「なにが聴こえる?」では、自然、生態系、そして地球の未来に焦点をあてます。
次に、「なにを話そう?」では、作者の報道やメディアの世界での仕事を通じて、イメージの力を示します。
近代を代表する建築家、ミース・ファン・デル・ローエの格言「Less is more(少ないほうがより豊かである)」を指針に、フォロンは自らの芸術言語を絶えず洗練させ、色彩の感情を深めました。
旅は重要な問いで終わります。
「つぎはどこへ行こう?」「自由な意思で、どのような選択をする?」エピローグは、旅人自らがこれから生きていく世界について思いを馳せるよう促します。
本展は、初期のドローイングから水彩画、版画、ポスター、そして晩年の立体作品まで約230点を紹介する日本で30年ぶりの大回顧展です。
デジタル化やパンデミック、戦争など、社会的に大きな曲がり角にある現代、環境や自由への高い意識を持ち、抑圧や暴力、差別などに静かな抗議を続けてきたフォロンの芸術を今、改めて見直します。
会期:2024年7月13日(土)-9月23日(月)
会場:東京ステーションギャラリー
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-9-1
JR東京駅 丸の内北口 改札前
休館日:月曜日(ただし7/15、8/12、9/16、9/23は開館)、7/16(火)
開館時間:10時-18時(金曜日10時-20時)
※入館は閉館の30分前まで
主催:東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)、東京新聞、フォロン財団(ベルギー)
後援:ベルギー王国大使館
特別協力:ベルギー王国フランス語共同体政府 国際交流振興庁(WBI)
協賛:T&D保険グループ


