寸鉄9 0選Ⅴ   新自由主義(ネオリベラリズム)  始点  罠

 

 

   

Ⅴ―1  新自由主義(ネオリベラリズム)

 

 

 11 ○ サンデル「実力も運のうち~能力主義は正義か?」

   

「運」でえた富を「実力」で得たと勘違いした傲慢なエリートがあらゆる権力をぎりアメリカの民主主義は多様性を失い活力を失ってきた  Ⅲ p55

☆「Z世代のアメリカ」三牧聖子、NHK出版新書  8・12 

 

 

 

 12 「壊れゆく世界の標」チョムスキー、NHK出版新書  9・16

 

 ○レーガンが初期に着手した政策にタックスヘイブン(租税回避地)と自社株買戻しの合法化(タックスヘイブン株)p21

Ⅱ ○知的財産権 クリントンが残したネオリベラリズムへの素晴らしい贈り物の一つ

 ↓↑

  ベイカー 知的財産権をどうすればとりのぞけるか、提案  p63-4

 

Ⅶ ○◎不平等の問題は大昔から存在するが、多くはこの40年ほどの、一般国民に対するネオリべラリズム攻撃から生まれたものだ。P241

 

 

 

 13 「蜂起 詩と金融における」べラルディ、水声社  12・11

 

○    わたしたちの時代の後半は福島の出来事によって徴されている。P336

      

○後期近代においては、若者に対する甘言と老人への蔑みが広告の本質的な特徴となる。

○◎金融は、富の脱領土化によってもたらされるものである。P93

○風向きが変わり、労働者の運動が敗れたとき、新自由主義は、資本主義の攻撃性の波にイデオロギーを供給した。P186

〇今日の新自由主義の順応者は、68年世代のひねくれた相続人だ p187

 

 

 

 

Ⅴ―2 始点

 

 

 21 チョムスキー

 

Ⅵ ○◎市民的不服従(良心に基づき従うことができないと考えた特定の法律や命令に非暴力的手段で公然と違反する行動)p231

 

Ⅶ ○◎古きものは死にゆき、若きものは生まれ得ぬ。この空白期間には多くの恐ろしい事実が現れる」(グラムシ、1930年代初め)p264

 

「壊れゆく世界の標」チョムスキー、NHK出版新書  9・1

 

 

 

22 ○◎〈過去をコントロールする者が未来をコントロールするというオーウェルが正しいとするならば、現在をコントロールする者が、未来を人類にとって住みがたい、また、住めない場所にしてしまうことがないよう、彼らに過去の操作を許さないことが至上命題なのだ。ℙ449-51 結び

 

「近代とホロコースト」バウマン  9・27

    「記憶する義務 しかし何を?」2000年版へのあとがき

 

 

23  明晰さは太陽に最も近い傷だ

 

【ルネシャール 詩・生涯】

○◎そこ(抵抗運動の最中の日記)では、ナチズムの神話からの解放のために明晰さが求められる。この明晰さは抵抗運動自体にも向けられ、ナショナリストの特徴を排除する。

(略)この明晰さは苦痛を伴なわずにはいない。だからこそ「明晰さは太陽に最も近い傷だ」と述べられる。P535 

◇「明晰さは太陽に最も近い傷である」という詩行を知ったのは、1970年頃のことである。『壁は語る』というパリ五月革命の落書きの写真集に載っていた。それが平野啓一郎の小説『マチネのあとで』を読んでいて、ルネ・シャールの詩行だと知ったのは、2010年代も後半、実に半世紀近くあとのことである。平野さんの小説でも「謎めいた」詩行として登場するこの詩の解釈がここでは試みられている。

 

「ルネシャール全詩集」吉本泰子訳、青土社  7・19

 

 

 

24  【シットインのおこり】

 

○グリーンズボロ事件 ノースカロライナ州 1960年2月1日、黒人単科大学の4

 人の1年生が、下町にある白人専用の軽食堂で席を取ろうとした。彼らはサービスを拒否された。彼らが立ち去ろうとしなかったので閉店してしまった。翌日も彼らは出かけて行った。その後、連日他の黒人がやってきて黙って座っていた。p753

  

「民衆のアメリカ史 下」H・ジン、TBSブリタニカ  11・16

 

 

 

25 「シジェク、革命を語る」青土社    7・6

 

[15 プロレタリアートの立場を具体化する]

○◎今日、もっとも貧しい人々は、働く人ではなく、失業している人、排除されて

いる人など p98

 

〔26 貧民街の政治化〕

 ○◎プログラムのないある種の純粋な反抗=「交換的コミュニケーション

  情報を伝えることではなく、「私たちはここにいますよ」というシグナルを送ることp163

 ○◎新しい解放の政治は、特定の社会的な行為者によるものではなく、様々な行為者たちを爆発的に結びつけるものとなるp166  

 [28 暴力的な市民的不服従]

 ○存在した暴力は、象徴的暴力だけ ◎通りを歩き、当局をないがしろにするp174

〔29 象徴的暴力の正当性〕              

 ○◎権力を無視することが必要な条件においては、それを試みることは人々の権利である→組織的に権力を無視するという点でとてつもない力をもっているp181 

 

[34 不可能なことは起こる]

 ○◎「あらゆることは可能である」ではなく「不可能なことは起こる」(ラカン)

 ○一つの答え

    ◎「現実主義者たれ、不可能なことを求めよ」結語:68年5月のモットー

   ◇『壁は語る』をふりかえると、中ほどに次のように載っている。

    ◎「現実主義者であれ。不可能事を要求せよ。」と。 

 

 

 

Ⅴ―3 罠

 

 

 31  「金融緩和の罠」

      ◇二章 積極緩和がもたらす副作用 河野龍太郎 →発言はKで表示 

  

○K経済の実力そのものが落ちたときに、貨幣供給量を増やすことでなにか改革することができるか→むしろ逆効果p92

 

○Kバブルとその前後という現象は、本当にエコノミストや政策当局者の目をくらませてしまう程強烈p107—8

 

○K泥沼の価格競争におちいり製品価格をやたらと押し下げてしまった この15年間のデフレの原因の一つp125

〇◎K国民が景気拡大を感じられなかった理由=利子所得が増えなかったこと=0金利政策は家計から利子所得を奪っていますp140

 

〇K極端な金融政策を長引かせることが、経済本来の目的である家計の消費をふやすことを阻害していることに日本は気がつかなかったp141

 

○K◎家計と企業が使うのをやめたお金がどこへったか→貯蓄にまわって金融機関に集まる→リスクが低くて日銀が買い支えてくれる国債を買っている→飢えたタコが自らの足を食べはじめたような状況 !! p143

 

〇K◎財政金融政策の本質 「財政政策は所得の前借りである。金融政策は需要の前倒しである。」p134

○K貨幣数量説 長期的にはある国の物価水準はその国内で流通している貨幣の量によって規定されるp115 

 

☆「金融緩和の罠」菅野稔人編、集英社新書2013年4月 10・26

 

 

 

 

   寸鉄90選Ⅳ   風土と原風景(日本)  戦前(日本)  日本の思想

 

 

   

Ⅳ―1 風土と原風景(日本)

 

 

 11 55 何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂へ

 

   ☆「閑吟集」真鍋昌弘校注。岩波文庫、p94  3/4

 

 

 

12 「橋は道もなき水の上にも道をなす」

      北村季吟、源氏物語湖月抄「夢の浮橋」よりp111

 

      ☆「美しいもの」白州正子。角川ソフィア文庫、p111  3/20

 

 

13  ○万能一徳の一句あり。此句三ヶ条口伝在 是非初心不可忘。

    初心不可忘 時々初心不可忘 老後初心不可忘 此三句 能々口伝可為

 

     ☆「世阿弥」白州正子、講談社文芸文庫、p52-3  3/25

     ◇中学校でクラス担任をしていたずいぶん前のこと、中1のクラスで、生徒 たちに「初心を忘れるな」と学活や学級通信で、一年間くりかえし説いたことがあった。担任した生徒の一人にA君がいた。学力の点で「このまま普通学級では続けられないのでは」と周囲の先生から言われていた。進級してクラスを離れだいぶ経ったある日のことである。「初心を忘れるな、だよね、先生」と声をかけられて、驚きかつ嬉しかった。

      格言について知ってはいたが、オリジナルは世阿弥の言葉であるとは、まだ知らないでいた。

    

 

 

14 ○次郎の墓 五輪塔の形をした板碑 次郎 不動明王の種子(梵字)

             ついでに私の墓 正子 十一面観音の種子(梵字)p235

 ◇「葬式無用戒名不要」の次郎にその妻正子は、墓をどう造ったか?

  日本の仏教の伝統の圏内にあって好みを出している。「石見の人」鴎外と比較して面白い。

     ☆「かそけきもの」白州正子、角川ソフィア文庫 4・26

 

 

15   原風景

○武蔵野台地が、沖積平野とぶつかった崖の東端にあるのが上野山で、そこから北

へ、日暮里、道灌山、飛鳥山と丘が連なっている。(略)

  駒込染井の長池から発した谷戸川が、西ヶ原を経由して、中里、田端、谷中と谷をえぐりながら南下し、根津谷中付近で、その名も藍染川と変わって不忍池にそそいでいた。

この谷にょって、武蔵野台地の先端が、本郷台地と区切られ(略)p22

○本郷台地の稜線上には、中山道、岩槻街道が通じており、はるか先まで市街地が形成された  

 ☞岩槻街道(御成街道)  駒込をへて、霜降橋で谷戸川を渡り、上野、飛鳥山台地へ移って、連丘に沿い、王子へと向かう p3

 

 ☆「東京の原風景 都市と田園との交流」川添登、NHKブックス  11・10

 

 

 

Ⅳ―2 戦前(日本)

 

 

21  小林秀雄

 

◎若い頃から、経験を鼻にかけた大人の生態というものに鼻持ちがならず、老人の頑固や偏屈に、経験病の末期症状を見、これに比べれば、青年の向こう見ずの方が、寧ろ狂気から遠い。   「年齢」昭和25/6月 p63

 ☆「栗の樹」小林秀雄、講談社文芸文庫   5・16

 

 

22  柳田国男

 

◎日本の人間は他の国に較ぶれば、復讐心が強いp29

 

「柳田国男 山人論集成」大塚英志編、角川ソフィア文庫  12・6

 

◎日本の文化史を書いた物以外からやろうとすると、最初は苗字と地名とに手をつ

けることになる。P327

 

  「故郷七十年」柳田国男、角川ソフィア文庫  12・7

  

○「産褥の女が鉢巻を締めて生まれたばかりの嬰児を抑えつけている」間引きの絵馬

 →少年期の体験「故郷七十年」     p103

 「漂泊と定住と 柳田国男の社会変動論」鶴見和子、ちくま学芸文庫 10・19

 

 

  

23「死の懺悔 或る死刑囚の遺書」古田大次郎    春秋社  4・29

○なぜ人間はもっと愛し合わぬのだろう?なぜ人間は正しく生きようと努めないのだろう?P43 三

 

○この眠り永わにさめずあれかしと 今日も祈りて床に入るかな。5/18 p196 十三

○樹も空も雲も空気を一様に 黙せる如き夕の静けさ。8/7 p327 二十八  

 

 

24 「◎戦争が廊下の奥に立っていた」  渡邊白泉        p210

 

「反戦川柳人鶴昭の獄死」佐高信、集英社新書  8・17

 

 

 

Ⅳ―3 日本の思想

 

 

31 ◎日本の政治思想にユートピアを表わしたものがない

←→ 1700年ごろ、ことにフランスでユートピア思想を描いた文獻が

多く出た

     ▽[書簡]大窪源治あて 1959/15/7 p464-5

     ☆「日本の兵士と農民」H.ノーマン、全集4,岩波   5・26

 

 

 32 ◎「人民の自由権利を侵害し、建国の旨趣を奸する時は日本人民は之を撲滅し、新政府を建設することを得」抵抗権:枝盛憲法案 p62

 

家永三郎『植木枝盛研究』を読む」 鈴木宏之

「さようなら!福沢諭吉」15号 8・15

 

 

 

33 もちろん戦後民主主義を「虚妄」と見るかどうかということは、結局

  のところは、経験的に検討される問題ではなく、諸君の価値観にかか

  わってくる。・・私自身の選択についていうならば、大日本帝国の「実在」

  よりも、戦後民主主義の「虚妄」の方に賭ける。   丸山眞男

(64年5月「増補版 現代政治の思想と行動」後記、未來社)

 

◇きわめて有名な言葉だが、丸山が〈賭け〉という語を用いていること

に注目したい。晩年まで丸山を師と仰いでいた藤田省三が、〈賭け>という

語にみせるこだわりを思い出す。

 

☆「丸山眞男 八・一五革命序説」松本健一、河出書房新社、p75 2/8

 

★◎◇日記より  5・16

 ○藤田省三論断章のキーとなる文章は下記反抗

  19世紀の世紀末が世紀末であって、それ以後ずーっと世紀末だという説(略)それへの反抗および表現として出てきた芸術運動その他は全部(略)「賭け事的要素をもったもの」ブレヒトに加え、ベンヤミンもそう。 

  

    (「三つの全体主義の時代」1984年2月、『戦後精神の経験Ⅱ』)

 

 

 

34 ○明治の初めに福沢諭吉が日本に「民間公共」の観念及び制度がない点を注意したことがあった。(「帝室論」)(略)「民間公共」の考え方がないこと、従って国家実定法主義にならざるをえない。p267

○戦後的な自然状態の中から社会契約の結成へと向かう一歩が踏み出されていた。(略)その後の民主化運動において自発的集団が群生する過程を通じてようやくかなり一般化してきた社会契約的思考p270

 

☆ 転向の思想史的研究―その一側面」岩波、藤田省三  4・1  

     ◇第三章 (昭和二十年)を中心とする転向の状況

 

 

 

35   藤田省三

○◎アーレントの「全体主義の起源」は記念碑的書物だ。19世紀の「資本論」、20世紀の「全体主義の起源」といってよいFp28

○藤田(電話で) ◎「自分はやり残したことが二、三ある。その一つは自然哲学について書くことだ。いろいろ準備はしてきたがぼくにはもう書けない。」p29

 

☆「回想録 わが師たち 藤田省三・古在由重・高杉一郎」同時代社 

             11・26   太田哲夫著  

 

 

   

Ⅲ―1  ヴィトゲンシュタイン 

 

 11  「論理哲学論考」より 

 

○2.02 対象(事柄、事物)は単純である。P9

 ○2.0232 ついでに言っておくと、対象に色はない。P11

 

 ○2。1 私たちは事実の像をつくる。P14

 ○2.1512 像は、物差しのように現実にあてがわれている。P15

 ○3.1 命題では考えが感覚的に知覚できるように表現されている。P20

 ○4.021 命題は、現実の像である。P40

 

○4.112 哲学の仕事の核心は、説明することである。P48

 

○5.453 論理には数というものが存在しないP89

 ○5.61 論理は世界を満たしている。世界の限界は論理の限界でもある。P111

○6.3 論理の外側では、すべてが偶然である。P113

 

〇6.4311 ◎死は人生の出来事ではない。死を人は経験することがない。P142

  

○6.5 は存在しない。

   そもそも問うことができるなら、その問いには答えることもできる。P144

  ○6.522 ただし、口に出せないものは存在している。

  ○7 ◎語ることのできないことについては、沈黙するしかない。 結語 p146

 

   ☆ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」丘澤静也訳、光文社文庫 5・7

 

 

 

Ⅲ-2  イェイツ

 

 21  ○詩人とは言語が存在していくための手段なのです。あるいは、偉大な詩人オーデンが言ったように、詩人とは言語が生きるために必要な糧*なのでしょう。P33

 *註 「イェイツを偲んで」の一節 加藤光也訳 p44

 時間は、 勇敢で無垢な者にも / 寛容ではなく

 一週間もすれば美しい肉体にも / 無関心となるが

 

言語を崇拝し / 言語が生きるための糧とする全ての者を許し

 臆病やうぬぼれをも容赦して / 彼らの足下に敬意を捧げる (オーデン)

 

☆  ブロッキイ「私人 ノーベル賞受賞講演」群像社、1996  4・13

 

 

22   〔21 真の恋愛に対する恐怖〕 

○◎我々の世界は、3世紀から4世紀にかけてのローマ帝国によく似ている。イェイツが20世紀に下した診断は正しかった。

   「再臨」   1920年 

{血に混濁した潮が解き放たれ、いたるところで

 無垢の典礼が水に呑まれる。

 最良の者たちがあらゆる信念を見失い、最悪の者らは

 強烈な情熱に満ち満ちている。」

  これは、今日における無気力なリベラル派と情熱的な原理主義者との分裂をみごとに描写していないでしょうか。(対訳 イェイツ詩集)  p135

 

 ☆「シジェク、革命を語る」青土社    7・6

 ★ペラルディも次のように「再臨」を引用している

       事物は粉々に砕け、中心を保てない、P45

     「蜂起 詩と金融における」べラルディ、水声社  12・11

 

 

 23 ○美が夢のように消えるなどと誰が思おう?

  Who dreamed that beauty passes like a dream? 

                    1-1 8「世界の薔薇」1892 p53

 ○あなたが老いて白髪になり眠りに満ち満ちて/ .暖炉のそばにまどろむとき、この詩集をとって/ ゆっくりと読んでくれ。(下略)

When you are old and grey and full of sleep./ And nodding by the fire,take down this book。

And slowly read, (下略) 

                     1-1  13「あなたが年老いるとき」1892 p67                            

○あそこなら心もいくらかは安ら ぐか。安らぎはゆっくりと

And I shall have some peace there.for peace comes dropping slow.    

                 11「湖の島イエスフリー」 p61 1890

○愛という言葉に私たちはりこみ  最終連1行 

We sat grown quiet at the name of love.

                      19「アダムの呪い」1902  p87

○木の葉は数多くても幹はひとつ、/ 偽りの青春の日々がつづくあいだ

私は陽光を浴びて葉と花を揺すらせた。/ いまは真理のなかへ凋んでゆくか。

Though leaves are many,the root is one;/ Through all the lying days of my youth

I swayed my leaves and flowers in the sun;/ Now I may wither into the truth.

                   21「時を経て叡知が訪れる」1910年 p93

○木々は秋の美のさなかにあり、/ 森の小径は乾いている。

The trees are in their autumun beauty./ The woodland paths are dry.

                1-Ⅰ 25「クールの野生の白鳥」1917 p115

○そうして私は叫んだ,「老いぼれる前に、/ この男のために一篇の詩を書こう、

おそらくは夜明けのように冷たくて/ 情熱にあふれる詩を書こう」と。

And cried,‘Before I am old/I shall have written him one

Poem maybe as cold/ And passinate as the dawn.’

28「釣師」 1917 最終連ラスト4行、p123

 

○すべてが変った。完全に変った。/ 恐ろしい美が生まれた。

All changed,changed utterly.:/ A terrible beauty is born.   p139 

○あまりに長いあいだ犠牲に耐えていると/ 心が石になることもある。 p145

Too long a sacrifice/ Can make a stone of the heart.  

               36「1916年復活祭」」  1916年9月25日

☞1916年4月24日復活祭、市民軍、義勇軍、アイルランド共和国の独立を宣したがイギリス軍が弾圧、15名処刑。

○なかでも知的な憎しみが最も悪い。だから/ 意見など忌むべきものだと思ってほしい。

An intellectual hatred is the worst./ So let her think opinions are accursed.

32「娘のための祈り」1919年6月  p159

◇iイェイツから対訳で長く引用した。どうしてこの夏にイェイツの詩集を図書館で借りて読んだのか。ヒントは、シジェクの対談を読み、そこにあるイェイツの引用の適確さだった。αβ―64のシジェクのメモに出てくる。「再臨」という詩の一節。のちに書いたように、ある時期のイェイツは私たちの同時代人である。

  

「対訳イェイツ詩集」高松雄一訳 岩波文庫  8・14

 

 

24  ◇日記より  11・14

 ○カルミーナとラッセルから手書きの返事が来た。ZARAGOSA11月6日の消印.。夏に読んだ本の中であげれば対訳のイェイツの詩集だと書き、詩行の引用も付け加えたのに対応して、ラッセルの手紙では、イェイツについてしっかり書いてくれた。彼がマスターピースだと思う詩は気に入った詩行まで書いてくれていて、こちらのメモと一致する部分(●印)もあり楽しい。 

  ラッセルの手紙には7つの詩が載っている。。

①   Saiiling to Bizantium         〔33〕1927●    

②   When you are old           〔13〕1892●

③   〔Meditation o the old Fisherman〕    〔28〕1916▲

④   He wishes for the cloths of Heaven   〔18〕1899〕※

⑤   The Lake Isle of Innisfree       〔11〕1890●

⑥   Easter 1916             〔36〕1920●※

⑦   An Irish Airman foresees his Death    〔26〕1919 

◇※はラッセルが詩行を引用している所で、かつ私がメモをしているところだ。Fishermanだけがラッセルの書いている詩とタイトルがちがっていて不明。

  「イースター1916」の引用はラッセルと同一の箇所。

  “Too long a sacrifice ,/ Can make a stone of the heart.”

④のラッセルのおすすめの引用はこうだ。

“Tread softly because my dreams.”

 

 

 

Ⅲ-3 ニヒリズムの時代

 

31   ニヒリズム

 〇私の物語るのは次の二世紀の歴史である。私は来たるべきものを(略)すなわちニヒリズムの到来を書きしるす。P13

  〇一 1 ニヒリズムはいま戸口に立っている。全ての訪問者のうちで最も気味わるいこのものは、どこからくるのであろうか?p19

  〇九 ニヒリズムの先行形式としてのペシミズム・・p25

  ○三一 ヨーロッパのニヒリズムはその緒についたばかりである(略)それはかってインド 

においてはもっていた無がそこに反映するところの、あの驚くべき憧憬の凝視をまだもってはいない。  p41

  

      

  ◇四五八 〇「行為しなければならない。したがって一つの基準を要する。」

〇「行為してはならない。」―いっそう首尾一貫した彼らの兄弟、仏教徒たちはこう言い、どうしたら行為から解放されるのかの基準を工夫した・・P383

 

      ☆「権力への意志  上」ニーチェ、理想社  3/2

 

 

32◎「あまり長い間深淵をのぞいていると、深淵がきみの魂をのぞき込むようになる」

                (「善悪の彼岸」ニーチェ)p67

 

      ☆ドストエフスキー」カー、原著1931年、筑摩叢書  8・19

 

 

 33 ○当今の人間 瞬間Momentと意見Meinunaenと流行Modeとの3つのMから酷使せられる奴隷(第三篇 ショーペンハウアー)  p78

 

     ☆「反時代的考察 下」ニーチェ、岩波文庫   11・24

 

 

 34 <Ⅲ>○◎神父「賢い人は葉をどこに隠すだろう。森の中だ。だが森がないときにはどうする。自分で森を作るのさ…・死体を隠さねばならんとしたら死体の山をつくるのさ」(「折れた剣」、チェスタートン『ブラウン神父の童心』)p149

○ハイデガーたちもまた、ナチスという死体を西洋形而上学とよばれる死体の山の中に隠した。P152

 

  ☆「大義を忘れるな 革命・テロ・反資本主義」S・シジェク、青土社 9・30

 

 

 35  カフカ

 

 ○カフカの主要テーマの一つは屈辱である。P121

○「変身」では屈辱をこうむっている肉体のその屈辱が凝縮したのである。P122

 ○犬の比喩的な表現はカフカの作品にくりかえし現われる。P124

○〈まるで犬だ!〉と彼は言った。さながら恥辱が生き残って行くように思われた。

    ~ 『審判』p109

 

      ☆「もう一つの審判」カネッティ、法大出版会  12・16

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寸鉄90選Ⅱ  詩と思索 オーデン 大江さん

 

 

 

 Ⅱ―1 詩と思索

  11 ○哲学者のほかには詩人が無について話すことができる。

      ○哲学および哲学の思惟と同列にいるのはただ詩だけである

      詩人の詩作と哲人の思惟との中にはいつでも広い宇宙空間が開けられている。

 

             ☆「形而上学入門」ハイデガー、平凡社ライブラリー、p51 1/31

 

 

 

   12 ◎認識には3つの方法があります。第一に分析的方法、」第二に直観的方法、それに第三に聖書の預言者たちが使った、啓示の助けを借りる方法。文学の他の形式と詩との違いは、詩がこの3つの方法を同時に使うという点にあります。(略)

    たった一つの言葉、たった一つの韻の助けによって、詩を書く者は、以前に誰も到達しなかったところに、そしてひょっとしたら自分が望んでいたよりも遠くに、辿りつくことができるでしょう。P35

○◎詩を書く者が詩を書くのは、なによりもまず、詩作が意識や、思考、世界感覚の巨大な加速者だからです。P35

 

☆  ブロッキイ「私人 ノーベル賞受賞講演」群像社、1996  4・13

 

 

 

 

 

 

13 [形式上の分割]

    ⅩⅦ

ヘラクレイトスは、相反するものの熱狂させる結合を強調する。(略)

   詩と真実が、私たちの知るように、同義語である。(下略)P132

 

☆「ルネシャール全詩集」吉本泰子訳、青土社  7・19

 

 

 

  Ⅱ―2  オーデン

 

21 悲しみにかきくれてうずくまる少年が 

  五月の蝶のように軽やかな笹船を放ちやる 

   ランボー「よいどれ船」   p40 

  ☆「怒れる海 ロマン主義の海の図像学」オーデン、澤崎順之助訳、南雲堂 3/8

 

 22 ○ぼくらは地平的人間のほかは

   誰だって買いはしないのだが

   もしできることなら垂直的人間に・

   敬意を惜まないことにしようではないか。 P10・扉

 

○わたしは、とてつもない世界の一寸法師の観察者。⒝ p24 

⒝Tiny observer of enormous world.(「1929年」Ⅱ、2連)

 

 ○◎敗者に語る「歴史」の言葉は、「嗚呼アラース」までは口に出るが、

   それからさきは決して歴史は助けてくれない、お赦しもさがらない。P46⒟

        (「スペイン・一九三七年」)

 ⒟History to the defeated

    May say Alas but cannot help or pardon.(「Spain 1937」最終連ラスト2行)

  

オーデン詩集」深瀬基寛訳、せりか書房、1971   5・13

 

23○◎「しかし獲物として一つだけ奴に手の届かぬものがある / 

人食い鬼は言葉をものにすることができないのだ」

「1968年6月」堀田善衛訳~チェコ侵入p204

 

  「第二の世界」オーデン、晶文社 10・21

     【あとがき:オーデンー小ゲーテの側面  中桐雅夫】

 

24 ○◎「科学か! 呪われてしまえ、こんな役に立たん玩具は。人間の目を空高くむけさせるものは、なにもかも呪われるがいい―・・・人間の目というのは、本来この地球の水平線を見わたすようになっているのだ.」。(下略)『白鯨』CXⅧ  p221

 

 「怒れる海 ロマン主義の海の図像学」オーデン、沢崎準之助訳南雲堂  11・28

 

 

 

 

Ⅱ―3 大江さん

           大江 健三郎  2023年3月3日没

 

31 ○武満 僕は自分自身アナーキストではないかと思うp194

   ○大江 実は僕も自分はアナーキストじゃないかと感じてきたし、いまはもっとはっきりアナーキストになりたい。 そのヒントはショーレムとベンヤミンの若い頃の対話。「自分たちにとって一番美しい政治形態はアナーキズムかもしれない。◎アナーキズムは人間を信じるものだ。人間を信じているから支配する政府がなくてもいいと考えるのだ.」(ショーレムの回想)p195

    

    「オペラをつくる」 武満徹 /大江健三郎、岩波新書、1990 5・11

 

32 ◇日記より  5・11

 

○    大江の小説のタイトル        WHOの詩のタイトル せりか版ページ

「見るまえに跳べ」1958年      「見るまえに跳べ」p87

「狩猟で暮したわれらの先祖」    「狩猟で暮したわたしたちの先祖は」p106

  「文芸」1967年→1969年

「われらの狂気を生き延びる道を   「支那のうえに夜が落ちる」p151

教えよ」「新潮」1969年2月→1969年 「われらの狂気を生き延びる

道を教えよ」p153(最終連の2つ前)

☞ 手元の「オーデン詩集」は1971年刊行だが、1954年のあとがきがあることから、大江は深瀬訳にもとづくと断定していいだろう

 

33 ◎誰びとか民を救はむ。目をとぢて 謀叛人なき世を思ふなり

「家常茶飯」ラスト5首

  ◇大江健三郎の小説「われらの狂気を生き伸びる道を教えよ」の結末部に引用されているので知った

  

 「釈迢空 全歌集」岡野弘彦編、角川文庫  6・10

 

 

 34  「危険の感覚」

 

○作家にとって一番大切な、そして最も基本的な態度とは、どういう態度でしょうか、というインタヴィユアーの質問を受けたことがある。

○僕自身はこう考えている。(略)⦅ぼくという作家にとって、一番大切な、そして最も基本的な態度とは、危険の感覚をもちつづけるということです。⦆

 危険の感覚という言葉にぼくはオーデンの詩集のなかで出会ったのだ。(略)オーデンはこう歌っている。

 危険の感覚はうせてはならない

 道はたしかに短い、また険しい。

 ここから見るとだらだら坂みたいだが  p430

 ○この詩をぼくがはじめて読んだのも、ずいぶん以前のことで、ぼくはやはり学生だった。ぼくは感動しこの詩をぼくの行動法にしようと思った。現在についてばかりでなく、過去に向かっても、ぼくは危険の感覚というフィルターをとおして、子供のころの自分をのぞきこみ、いくつかの発見をしたものだった。P430-1

 

「大江健三郎 厳粛な綱渡り 全エッセイ集」文藝春秋社、29刷(昭和47年)6・24

 

 

 

  

寸鉄90選1  口上 一行 文 デュオと対比

 

Ⅰ-0  口上

 寸鉄2023のアフォリズム群?を整理してみた。まず

 私のために。90という数になったのは、私の削る勇気が

 減退したのかもしれない。 

  さらにそれらを7つの章に区分し、章のそれぞれを小分

 けして見出しをつけた。

  1 口上 一行 文 デュオと対比

  Ⅱ 詩と思索 オーデン 大江さん

  Ⅲ ヴィトゲンシュタイン イェイツ ニヒリズムの時代

  Ⅳ 伝統と原風景(日本) 戦前(日本) 日本の思想

  Ⅴ 新自由主義(ネオリベラリズム) 始点 罠

  Ⅵ 気になる言葉  感情・感性 意志 問う 社交性

            思想 共通感覚 構想力 イメージ・想像力

  Ⅶ 古典(ローマ) ベンヤミン 日記断片

 

 

 

1―1 一行

 

 11 十三 美の対象は小さい物である

 

☆ バーク「崇高と美の観念の起源」みすず書房、p123  1/4

 

 

12 手や足の親指は、他の指とは反対の方に動くように出来ている

 

  ☆「最初の哲学者たち」トムソン、岩波、p13  1/1

 

 

13 「旅は事物を若返らせ、自己との関係を熟成させるものだ」

 

   ☆「性の歴史 Ⅱ」フーコー 新潮社

     訳者あとがき(フーコー序文より引用)、p324  2/12

 

14 「真理は具体的に」

(ブレヒトの書斎の天井の梁に)訳者解説  p297

 

☆「暦物語」ブレヒト、丘澤静也訳、光文社文庫 3/10

 

 

 

15 「人間はその父祖に似るよりも時代に似る」(アラビアの格言)

(「クリオの顔」)p132

 

☆「日本の兵士と農民」H.ノーマン、全集4,岩波   5・26

 

 

 

16 「閉じこめられた部屋では、思想さえも閉じこめられる」

(ドストエフスキーの小説中の一人物)p16

 「ドストエフスキー」カー、原著1931年、筑摩叢書  8・19

 

 

 

17 子どもたちがわれわれを喜ばすのは、彼らが可能性の原型だからだ。」

                  「カラマーゾフの兄弟」p139

☆「青髭ジル・ド・レー 悪魔になったジャンヌダルクの盟友」

レナード・ウルフ、中公  10・4

 

 

 

18「白人は頭皮をはがない。しかしいっそう悪いことをする。彼らは心に毒を塗る。」

族長ブラックホークの降伏演説  p220

 ☆民衆のアメリカ史 上」ハワード・ジン、TBSブリタニカ  10・16

 

 

 

 

 

 

1-2 文

 

21  私は古典古代の世界に救いを求めました。プラトンは避けました。

  プラトンはイメージの飛翔が危険なので、恐ろしかったからです。

  一番頼りにしようと思ったのは、セネカとキケロでした。概念たちが限定され整理されているので、それらの生み出すハーモニーが私を健康にしてくれるのではないかと思ったわけです。     (略)

   しかしながら、概念は自分たちだけでゲームをやっていたのです。(略)

  概念たちの間にいると、恐ろしいほど、孤独を感じました。眼のない彫像ばかりが立っている庭園に閉じこめられているような気分でした。

(手紙 F・ベーコン宛て 1603/8/22)

 

☆「チャンドス卿の手紙」ホーフマンスタール、丘澤静也訳、光文社文庫p19-20 2/11

 

 

22 四六九 ◎最も価値ある洞察は最も遅れて見いだされる。しかし最も価値ある洞察とは方法である。P14

 

☆  ニーチェ「権力への意志(下)」  3/14

 

 

 

23 ◎自然を説明する言葉として私が納得できる言葉はたった一つしかない。おとぎ話で使う言葉だ。つまり「魔法」という言葉だけである。P84

 

  ☆「正統とは何か」チェスタートン著作集1,春秋社  10・15再読

 

 

 

24 ヘレンケラーが活動家となり、さらに公然と社会主義者になってくる

 「私が時々考える著書を書いて社会主義運動に貢献できる機会があれば、その本につける題名はもう決まっている。 『産業の盲目と社会の聾』 」p574

 

 ☆「民衆のアメリカ史 中 1865~1941」H・ジン、TBSブリタニカ  10・27

 

  

25 ◎われわれが死者と食事をともにできるのは、偉大な芸術家を通じてのみである。また死者との交わりなしには、完全な人間生活はありえない。P182

 

 ☆「第二の世界」オーデン、晶文社 10・21

 

 

 

26 《仮定は網である。-ノヴァーリスは書いている。―網を投げてみたまえ。そうすればおそかれはやかれ、何かがかかるだろう。》p37 

 

☆「ファンタジーの文法」

6.〈もし・・・なら、どうなるだろう〉  ロダーリ、筑摩  12・27

 

 

 

 27 「私たちはいとも簡単に戦争と平和を語りすぎる。(略)世界がどうだとか、国際貢献がどうだという問題に煩わされてはいけない。それよりも自分の回り、出会った人。出会った出来事の中で人として最善をつくすことではないか。」中村哲 p157

○中村の好んだ言葉→最澄の「一隅を照らす」=自分の身のまわりから照らしていってください。 NHK出版、2013「天,共に在り」  p158

 

☆「Z世代のアメリカ」三牧聖子、NHK出版新書  8・12

 

 

 

1-3 対比とデュオ 

  デュオ1

31  時によっては

    恐怖もまた

    善いものである。

    人間であれ国家であれ、

    心のなかに健全な恐怖をもたない者で、

    正義に敬意を払う者があるであろうか  アイスキュロス「悲しみの女神たち」 ☆       「最初の哲学者たち」トムソン、岩波、p321  1/11

  ★大義を忘れるな 革命・テロ・反資本主義」p645、シジェクにも引用  9・30

 

   デュオ2

 32 理性が夢見るとき、その夢は怪物を宿す(原文:理性の夢は怪物を生む)

      ゴヤ 連作版画集〈ロス・カプリチョス(気まぐれ)〉43

 

☆    「自由の創出」スタロビンスキー、白水社、p225  1/19

★「差異と反復 上」ドゥ―ルーズ、序論p59、にも引用  10・9

 

  対比1

 33 ☆人生は絶え間なく〈そらせること〉である。それはなにからそらせるのかを、意識に上せることさえしない。P238 [断片]

    カフカ「夢・アォリズム・詩」平凡社ライブラリー、1996年  4・11

 

   ★◎「あらゆる真理は曲がっており、時間はそれ自体円環である」と侏儒がいう。「ツァラトゥストラ」第三部     p334

    「差異と反覆 (下)」ドゥルーズ、河出文庫  10・26

 

対比2

34 ☆「窓の奥に最悪のものがある。」ほかの全ては天使なみである。(下略)

       p309   ~地獄に至る指導原理五か条―(発生順に)

     カフカ「夢・アフォリズム・詩」平凡社ライブラリー、1996年 4・11

 

 ★       窓                       

窓のない部屋があるように  心の世界には部屋のない窓がある  「Nu」

       (ジャコメッティの裸婦の彫刻のための寄稿 1950年代前半)p197 

     「詩人のノート」田村隆一 9・9

 

 

 デュオ3

 35 知性の悲観主義、意志の楽観主義(グラムシ ) Ⅶ、 p238 

 

    ☆「壊れゆく世界の標」チョムスキー、NHK出版新書  9・16

    ★ファンタジーの文法」ロダーリ、筑摩p46にも引用  12・27

 

 

 

 対比3 

 36  ☆はるか彼方にさ牡鹿ひとり

     さびしい崖に追いつめられて

     安らかな眼に海を眺めている。 ( [謎] )p100  ~ 田村隆一★

  「オーデン詩集」深瀬基寛訳、せりか書房、1971   5・13

 

    ★「追いつめられた鹿は断崖から落ちる

     だが 人間が断崖から落ちるためには

     一篇の詩が必要だ」

 という 田村隆一の詩行(「新年の手紙」)を連想する。大体空んじていたが「寒暖計の水銀 の沈んだ日」というタイトルの詩の冒頭の連の3行だった。

       この詩はニューヨークのアパートへ、厳寒の日、田村がオーデンを訪ねていった様子を詩にしたもので、タイトルの表現はオーデンの「W・B・イェイツをしのんで」のなかにあり、田村のこの詩への感動が、オマージュとなっている。