『お前、全然ダメだね。』
会社員時代、唯一合わなかった上司にいつも言われていた言葉をふと思い出して、少しだけ切ない気持ちになった。
もちろん、今はもう心理カウンセラーだから、嫌な感情に支配されることも尾を引くこともなく、自分自身で対処できるのだが・・・。
当時を思うと、やはりしんどかったんだなぁとつくづく思った。
今はもう全く関わりのない人に言われた言葉を思い出して、少なからず心が苦しくなるのだから。
とはいえ、僕が勤めていた営業会社は、当時の僕の性分にはだいぶ合っていて、多くの従業員と親しくしていたし、今でも飲みに行ったりする部下や後輩もいれば、ちょくちょく連絡を取り合うような上司もいる。
どちらかというと、出会う上司にはものすごく良くしてもらっていたし、同期や部下にも恵まれてとても楽しい会社員時代だった。
にも関わらず、
時折『お前、全然ダメだね。』を勝手に思い出して、怒りにも似た切なさに支配されそうになるのである。
その度に、『言葉というのは恐い』とつくづく痛感させられるのだ。
今日、何の気なしにテレビを見ていたら、
ご高齢の夫婦が喧嘩をし、夫が妻を殴り殺したというショッキングなニュースがやっていた。
お互いが70歳を超えている、もう何十年も連れ添ってきたベテラン夫婦のはず。
『妻がブツクサ言っていたので腹が立って殴った』と証言しているという。
傍から見れば、『そんな理由で!?』と思ってしまうに違いない。
ブツクサ言っていただけで、当人の悪口を言っていたかすらもわからない相手を殴り殺してしまったのだ。
この二人に何があったのか、僕にはわからない。
だから、この出来事を『良い悪い』で判断するつもりは一切ない。
ただ僕は、人間の心というのはそれだけ繊細に作られているのだ、ということを再度心に刻み込んでまたあす以降、多くの人と触れ合っていきたいと強く思ったのだ。
そう、
どれだけ心理学を学びつくした人でも、
どれだけ心のことを知り尽くした人でも、
おそらくだけど、苦しい時は苦しいのだ。
どれだけ毎日幸せな日々に包まれている人でも、
大人でも、子供でも、やっぱり言われて嫌なことは嫌なのだ。
少しのことで、
思いもよらないことで、
自分にとってはなんともないようなことで、
目の前の命は、脆くも崩れ落ちてしまう可能性があるのだ。
だからこそ、
相手に対して辛辣な言葉を発する時、
相手を否定するとき、
陰で誰かを叩きのめしたくなる時には必ず思い出して欲しい。
『こんなことになるとは思わなかった。』
という言葉は、命が失われてからでは一切通用しないということを。
人の心とはそれだけ繊細なものなのだ。
図太く見せようとしている人であればあるほど。
僕はそれを知った日から、
もう人のことを悪く言うのはやめようと決めることが出来ました。
人を自分の価値観で『良い悪い』と判断するのをやめようと決めることが出来ました。
あなたはどうですか?