牧野アンナ公演 「ヤバいよ!ついて来れんのか?!」
この公演の価値は、
劇場公演の価値そのものです。
ライブ、というものの本質。
AKB48に「劇場」があって良かった。
心からそう思います。
この公演は全体像で見たかったので、入場巡が早くても立ち見最前に入ろうと思っていました。
さすがに3巡までであれば最前列に入れるので座りますが、
それ以降だったら本当に立ち見最前に入りたいと思っていました。
・・・結果は、
もう何巡だか分からないほど後の方でした・・・。
残りは5組くらいだったと思います。
とにかく、立ち見で可能な限りステージが見える場所を探すしかありません。
当然、立ち見最前は埋まっていました。
上手に行くと、なんとラッキーにもお立ち台がガラ空き!
さすがに一番中央寄りの場所には人がいましたが、その隣に入らせてもらいました。
ちょうど、上手の柱の裏、という位置で、
位置も悪くないですし、とにかく見晴らしがいい。(笑)
先にいた隣の人も「立ち見で中央ブロック最前に入れなかったら、ここの方がいい」と言っていましたがその通りですね。
お立ち台は、メンバーがこっち見てると思ったらサイリウム細かく振って合図すると、レスもらえる場合もあるということもわかりました。
これからは、
最前列、立ち見最前、お立ち台、の巡で場所を選ぶようにします。(笑)
「公演」をちゃんと見ることができました。
そのためにはとても良い場所でもありました。
総括的なことから言えば、
確かにこういう公演はいままでに見たことがありません。
あるメンバーの単推しで、その子にしか興味がない、その子とコンタクトしたいレスが欲しい。
という人にはあまり楽しめない公演かもしれません。
逆に、DDには天国だと思います。
何故なら、
全てのメンバーが、目の前の客に全力でアピールする、というスタイルだからです。
普段の公演では、自分の顔見知りの客を探し、そこに手を振ったり指を指すメンバーが多いですが、
この公演に関してはメンバーのそういう様子はほとんど見掛けられませんでした。
手も振りますし、指差しもやりますが、相手を選んでいる感じはありません。
そんなことに神経を使っている余裕がない、ということなのでしょう。
とにかくやり切る。
それだけがこの公演の中身です。
もう、彼女たちがそういう意識でやっているのがありありとわかる。
これは劇場での公演観覧の醍醐味ですね。
この前のめりの姿勢、押せ押せの雰囲気、はこの空間にいるからこそ感じられるものだと思います。
確かにこういう空気感の公演は秋葉原劇場では体験したことがなかったように思います。
この日の出演メンバーは、初日公演のオリジナルメンバーです。
M01 「恋愛総選挙」
ステージから、メンバーから発せられる熱気。
客席の熱量が高くて、それがステージ上のメンバーを加速させて行く公演は何度かありました。
ですが、この公演はOvertureが終わってステージの照明が点灯した瞬間に、劇場内の主導権はステージ上のメンバーにあります。
ステージから客席に向かって放たれるオラオラ感。(笑)
正直、こんな感じは初めてです。
栄劇場でも、ここまでステージから「行くぞオラ!」と押し込まれる公演は体験したことがありません。
全員が、とにかく弾けまくり。
一曲目で、「この公演は楽しいんだ!」ということが確定。
見ているこちらも、行けるところまで行くしかありません。
この、ステージと客席がひとつになる熱さ。
メンバーが、ファンに負けるか!と。
ファンがメンバーに負けるか!と。
メンバーとファンを隔てるものはなにもありません。
公演、というひとつの同じものの中にいる感覚。
メンバーは客席じゃ踊れないからステージの上にいる。ファンはステージに250人は上がれないから客席にいる。
ただそれだけのこと。
今、劇場公演のその中にいる、という実感。
M02 「僕だけのValue」
すこしテンポを落とし、強く指を指す振りが印象的。
この曲は知りませんでしたが、サビのフォーメーションでの振りが劇場公演にとても合っています。
公演曲として名曲だと思います。
M04 「ホライズン」
「12月のカンガルー」、「ホライズン」。
全てのメンバーが、その力を全開。
この、溢れる力感。
この、突き抜ける高揚感。
この公演では、メンバーが客席やカメラを見ずに、天を仰いで歌唱する場面がとても多く見られます。
彼女たちが天を仰いで、自らの中心から搾り出すものは何なのか。
今、この子が劇場の天井の先に見ているものは何なのか。
それを感じることがこんなにも素晴らしいとは。
以下、ユニットパート。
M05 「ナットウエンジェル」
これがウワサの「ナットウエンジェル」ですか。
これはもう、込山の独壇場です。
小麟も行天も悪くないですし、ものすごく頑張っていますが、いささか相手が悪い。
この画像のポーズの決まり具合からも分かるように、込山はしなる動きのポーズの決め方が本当に上手い。これは3人共、同じタイミングで動きを止めているところなんです。
腰と肩の軸を90度近くまでひねった上で、こんなに深く腰を落とし込んで。
こういう動きでは、須田亜香里でも込山に勝つのは難しいかもしれません。
この曲を演らせたら、込山が48Gで一番でしょう。
M06 「推定マーマレード」
こういうブリブリの曲は吉川七瀬が上手い、と初めて知りました。(笑)
「バッチこい」ではポンコツキャラの七瀬ですが、完全になり切ってのパフォーマンス。
やはり、基本的に下半身を大きく振ると動きが大きく綺麗に見えるようです。それができていますし、身体の動きを左右揃えるところとズラすところが、意識的なのか無意識なのか、それが上手い。
なかなかに魅力的。
レベル高いです。
佐藤栞がいい雰囲気出してます。
山根もなかなか。
湯本亜美がちょっともったいないかなぁ。
動けるのはみんな知ってます。だから、この曲のこの反抗的なイメージを「表現」して欲しい。
すごく高い要求をしていると思いますが、ユアミはもうそういうところを出して行くレベルだと思います。
顔を動かせ。手と足と腰じゃなくて、目と眉と口を動かせ。「表現」するんだ。
M08 「Green Flash」
ぶつかりあって溶け合う2つの個性。
GreenFlashが公演のヤマ場になるなんて、この公演が始まる前に誰が想像したでしょうか。
こんなにも、全く違うふたりの融合が心地良いなんて。
絞り出す、村山。
開放する、横山。
揃えてるのに、全く違う。 それは2人がちがう人間だから。
村山彩希 と 横山結衣。
この2人のこの1曲を見るためだけでも、この公演を当てて劇場に行く価値がある。
M09 「いつか見た海の底」
D1、D2、が2名ずつで歌うAKB伝統の「若手専用曲」。
4人のバランスがいい。
D2が中で弾ける。 外でD1が揃える。
それぞれがお互いに魅力を引き立て合う、ユニットの妙。
M10 「これからWonderland」
この公演で一番難しい曲だと思います。
振りが、とかではなくて、この曲の世界を表現するのはとても難しい。
ミドルテンポで、笑うでもなく、悲しむでもなく。
ゆっくりと、客席を誘う大人の世界。
M11 「Get You ! 」
「好きだァァァァァーーッッッ!」
この歌詞の瞬間に、この曲の、この公演の、「魂」が凝縮されている。
さあ、「ピノキオ軍」。
この曲は、この公演の表題曲のようなもの。
冒頭の込山の台詞からして、
今のSKEにこの内容のピノキオ軍をやれ、と言ってもすぐにはできないだろう、と思わせるほどの振り切り度。
やってるメンバーは完全にバカになってる。(笑)
だからそれを見ている客も、バカになるしかない。
「圧倒的なパワーでねじ伏せろ!」
その歌詞のとおりの16人です。
M13 「僕らの風」
手つな公演のM01、「僕らの風」が本編のラスト。
この公演は半数がSKE系の曲、と言って良いほどSKEの曲が多用されています。
しかし、不思議なほどにそこが気になりません。
それはきっと、16人にその意識がないから。
AKBとかSKEとか、曲の出典などどうでもいい。
いま、この曲をどうするか。
この曲で自分がどうするか。
それしかないのだと思います。
AKB風にやるだとか、SKEはどうだとか。
そうじゃない。
自分らしく。
だからこの曲は、この公演のこの16人の曲なのです。
EN01 「未来とは?」
EN02 「次のSeason」
アンコールの「未来とは?」、「次のSeason」。
もう、これは「やり切る」とかじゃない。
こんなにも、16人が曲に没頭して自らを溢れさせ解き放つ姿を見たことがあるか。
すごいとか、素晴らしいとか、もう、そういうことじゃない。
演技ではない、メンバーの「人としての力」を見る。
歌でも踊りでもなく、
ただただ、16人がそこにいる、という命の力そのものを見る。
EN03 「旅立ちのとき」
そして16人は、燃え尽きるのではなく、
静かにその力を鎮めて、この公演を終わります。
「旅立ちのとき」。
アンナ先生は、ここが目指す場所ではない、と語りかけます。
ここはスタートラインであり、ここから自分の道に進むのだ、と。
AKB48の活動の原点である「劇場公演」。
この公演には、「劇場公演」の真髄があります。
劇場公演には行ったことがない、という人がいるならば、一旦、思い込みを捨ててこの公演に応募して欲しいです。
劇場公演が好きだという人であれば、推しメンが出る出ないに関わらず、この公演を見て欲しいです。
必ず、「劇場公演というもの」を感じることができます。
ここまで長文をお読み頂いて、
こんなことを言うのは大変申し訳ないのですが、
この公演は、文章や映像で理解しようとしても、その本質には届きません。
劇場に行くしかないです。
劇場で、あなたのその肌で感じるしかありません。
この公演を理解するのは難しいです。
メンバーの吐いた息を吸い込んで、直接感じるしかありません。
ここに、劇場公演というものがある。
全ての人に、これを感じてほしいと思います。
この公演を作り上げる、16人。
西川怜
込山榛香
下口ひなな
武藤小麟
湯本亜美
久保怜音
田北香世子
山邊歩夢
佐藤妃星
達家真姫宝
村山彩希
横山結衣
吉川七瀬
佐藤栞
行天優莉奈
山根涼羽
この、16人のメンバーに、
そして、
企画したスタッフ、
指導をした牧野アンナ氏に、
感謝と敬意を込めて、この記事を捧げます。
この公演。
AKB48 の存在意義がここにあると思います。































