正直に言おう。
学芸会だった。
そして、もうひとつ言おう。
ほんとうに、とても良かった。
今、思います。
完成された舞台でないのは最初から分かっていたことです。
チーム8がやる、と知らされた時から、そんなことは分かっていました。
この舞台は、
そこから彼女たちが何を見せるか、です。
ゴールではなく、そのプロセスを。
成功ではなく、その努力を。
学芸会は、つまらないか。
完成されたものでなく未完成なものは、見るに値しないのか。
「チーム8」のその本質を改めて確認する舞台でした。
だから今回は、
誤解を恐れずに正直に感じたことを書こうと思います。
前回からは、大きく変えられた冬の第4幕。
変更された真の理由は定かではありませんが、結果としてこの変更は成功だったと思います。
視覚的にも情緒的にもとても分かりやすく、劇中話が すっ と入ってきました。
視覚的にも情緒的にもとても分かりやすく、劇中話が すっ と入ってきました。
それによって「野村文香」のプレゼンスは下がりますが、「4人の物語」という世界が印象的になり、この舞台のトータルなイメージとしては合っていると思います。
[野村文香] 永野芹佳
今回の、「学芸会」の主役。
そして、この舞台の「世界」をひとりで表現した永野。
永野が一番できていない。
だが、その永野がこの舞台の世界をより鮮やかに描き出した。
だが、その永野がこの舞台の世界をより鮮やかに描き出した。
声が出ていない。
台詞回しが滑らかでない。
そして、それを舞台の上で露呈してしまい、
なんとかしようと、
どうにかしようと、
なんとかしようと、
どうにかしようと、
必死にもがく「永野芹佳」がそのまま「野村文香」となって、若い女性の葛藤、苦悩、を、
台詞や表情、という「演技」を超えて、見る者に訴える。
永野、全然できてないんですよ。
でもね、そんな永野だから、客は永野の演技を見ようとする、台詞を聞こうとするんです。
そして観客は、永野芹佳を見ているのか、そこに野村文香というダメな面倒くさい女の子がいるのか、が良く分からなくなってくる。
そこにいるのは、文香を演じる永野なのか、ダメで強がる文香なのか。
その境界線がわからなくなり、
そこにいるのは、文香を演じる永野なのか、ダメで強がる文香なのか。
その境界線がわからなくなり、
ただただ、
理想はあれども上手くできずに、もがき続けるひとりの若き女性をそこに見て、
「がんばれよ」と、その姿に感情移入する。
理想はあれども上手くできずに、もがき続けるひとりの若き女性をそこに見て、
「がんばれよ」と、その姿に感情移入する。
丸い舞台の上にいるのは、誰だか分からないが、
そこには確かに、夢を追う、ひとりの女性がいたのです。
見る者は、その姿に心打たれるのです。
[柳原まや子] 佐藤七海
その文香を支える、まや子を演じきった佐藤。
この舞台の時代や状況を表現する、とても重要な役割。
裕福な家庭に育ったモダンガール、という進んだオンナを力強く表現。
衣装も台詞も他の3人とは異なる得な役回りではあるが、その分、ある意味この舞台をコントロールする役目を担っており、まや子の出来次第でこの舞台の評価は大きく変わる。
そんな重要で目立つ役割を、強く、確かに、演じ切った。
そんな重要で目立つ役割を、強く、確かに、演じ切った。
舞台映え、という点では佐藤が一番。
普段の佐藤のイメージとは異なる、「勢い」を押し出す強いキャラクターを持つまや子を見事に演じていたが、
佐藤のハッキリとした目鼻立ちが昭和モダンなショートボブの髪とマッチ。
その発声も聞き取りやすく、女優としてのその存在が舞台に映える。
佐藤のハッキリとした目鼻立ちが昭和モダンなショートボブの髪とマッチ。
その発声も聞き取りやすく、女優としてのその存在が舞台に映える。
この「強さ」は、今後きっと 佐藤七海 の武器になるでしょう。
そう思えるほど、佐藤の演じるまや子は確かなものでした。
[小林すえ] 太田奈緒
この舞台で、最も「丁寧」にその役割を演じていた太田。
そして、最もこの舞台に「溶け込んでいた」太田。
決して、その存在が飛び出ることがなく、
しかし、ちゃんと、その存在が薄くなることもなく、
ちょっと変わった雰囲気を持つ不思議な少女の役を舞台上に溶け込ませていた。
しかし、ちゃんと、その存在が薄くなることもなく、
ちょっと変わった雰囲気を持つ不思議な少女の役を舞台上に溶け込ませていた。
意識的にやっているのか、自然なのか、は分からないが、
すうっ と入ってきて、同じように すうっ と引いていくその自分の出番の作り方が見事。
すうっ と入ってきて、同じように すうっ と引いていくその自分の出番の作り方が見事。
ちょっと変わった趣味の優しい女の子、というすえの役をこの舞台に上手に載せていました。
配役がハマっている、という感じがします。
そのくらい、今回の舞台で最も違和感なくその役に馴染んでいました。
本人には苦労している部分もあるようですが、それを感じさせない「演技力」。
舞台という「場」を作る上では、こういったバイプレイヤーの出来によってその舞台の出来栄えが大きく変わります。
太田は、この舞台の裏MVPでしょう。
[正田 薫] 小田えりな
ひとりだけ、別次元。
あとは発声だけ鍛えられれば、もう十分に「女優」として舞台に上がれることを証明した小田。
はっきりとした表情の変化。大きな手振り。「間」の取り方。
舞台女優として「演じる」ということができています。
本当に、もうできてる。
今日の3幕では、薫は泣きながら文香を叱咤し応援していました。
それは演技ではなく、薫の自然な心の有り様だったのでしょう。
それは演技ではなく、薫の自然な心の有り様だったのでしょう。
それでも、台詞も演技も乱れることなく薫になり続ける小田。
そして、4幕の花魁。
花魁姿としての陰、
年季が明け職人に会う、女としての陽。
年季が明け職人に会う、女としての陽。
あそこまでの表情と雰囲気を作れることに感動しました。
この舞台では、永野と対を成す立ち位置を確立し、その存在を見事に演じた小田えりな。
小田がいるから、この舞台がこの姿で成立しています。
正直、見る前は期待していませんでした。
そして、見た後の今も、その期待する部分は満たされずに変わりありません。
だけど、この舞台が良かったか、ダメだったか、と問われれば、
私は迷うことなく「良かった」と答えます。
最初に永野のセリフを聞いた時には、「うわぁ・・・」と思いましたよ。
ですが、その感覚は2幕になるあたりから徐々に薄れ、
そして、3幕の秋。
彼女たちが大きく変わったのです。
ひとつの公演の中で、こんなに演者が変わっていくのを見たのは初めてかもしれません。
彼女たちに何が起こったのかは分かりません。
彼女たちの中で何が変わったのかも分かりません。
ですが、見ていて、明らかに変わった。
確実に、違う舞台になった。
確実に、違う舞台になった。
何があったのか分からないのですが、永野が変わった。
それまで稽古で憶えた「台詞」をしゃべっていた「永野芹佳」が、
急に、自分の言葉、自分の気持ち、を語り出したのです。
それに引っ張られ、
薫が感情のコントロールを失って、小田えりな が舞台に現れます。
小田は、感情を剥き出しにして、泣きながら文香を応援。
まや子 と すえ も、色の変わった2人に照らされ、急激にその輝きを増していきました。
その4人は、私の心をつかんで震わせましたよ。
そして、冬の4幕。
4人の力がそこに集まる、舞台。
4人がそれぞれにつくりあげる、物語。
雪の降る冬のラストシーン。
4人は、円形のその会場で、舞台の上で、
彼女たちが降らせた「桜吹雪のような雪」が舞う中、
その物語の幕を閉じました。
彼女たちはまちがいなく、
ちゃんと、会場に
観客の目にしか見えない雪を降らせてみせました。
お見事。
本当に、よくやった。
良かったです。
ありがとう。