初日
ヒデナガ:どうじゃった?
ヒデヨシ:うーん。周りの目が気になってのう、うまくいかんの。
予想以上にあがってしまったの。
じゃが、事前にお話できた人がいっぱいおったからな。大助かりじゃったで。
導入は、いい緊張感じゃった。
ヒデナガ:そうか。やって行けそうか?
ヒデヨシ:大丈夫じゃろう。はやく飲み会に参加せんとの。
ヒデナガ:!?
ヒデヨシ:なじまんといかんと言うわけじゃ。
酒がはいらんとの。
おろうが、本当は優しいんじゃが、外見が近寄りがたい人。
わしは、早くそういう人と仲良くなりたいんじゃ。
そうならんと、自分も身体が自由に動かんようになるばっかりじゃ。
後のう、わしが一番若いらしいわ。
ヒデナガ:そうか。大変なようじゃの。
ヒデヨシ:じゃが、なんじゃろう、頑張れば何とかやっていける、そんな気がする。
ヒデナガ:そうか。がんばれや…
「うねり」のようなものを
ヒデヨシ:今日は、紹介所に行った。
「うわさの紹介所」を紹介してくれた「紹介所」じゃ。
わしは、この紹介所からは、いろんなことを学んだ気がしておる。
広い意味で言えば、「コミュニケーション」なんじゃが、
もっと大きな「うねり」のようなチカラじゃな。
はじめて、この紹介所を訪ねた頃のわしは、正直、冷静さを欠いておった。
コイチロウに対するあせり、周りへのあせり・・・
そんなときじゃから、多分紹介所の方も困ったじゃろうな。
結果的には、わしは「うわさの紹介所」を紹介してもらい、うまくいったわけじゃが。
振りかえると、当時のわしは、他人が、言葉でアドバイスをくれたとしても、
それが、どんなに的を得たものであったとしても、
それをどこまで受け止められるか? そんな状況じゃった。
この紹介所は、そんなわしに対し、
直接的な言葉ではなく、周りから話し掛けてくれたんじゃ。
わしの周りの環境を的確に、タイミングを見て、調整してくれた。
「うわさの紹介所」の紹介もそうじゃし、紹介してくれた後も、後々振り返ると、感謝することが多い。
言葉だけが、コミュニケーションではない、他の「しかた」も、いろいろある。
そんなノウハウを教えてくれた。
わしは、そんな気がしておる。
わしが、それを血肉に出来るかは、わからんがな。
「つながり」と「一期一会」
ヒデナガ:兄者、おかえり。
ヒデヨシ:おう、今帰ったわ。
コイチロウよ。わしは、今日ほど勉強になった日はなかったわい。
ヒデナガ:うん、何があったんじゃ。今日は。
ヒデヨシ:うん、今日はな、「うわさの紹介所」に行った。
わしは、「今回の御礼の挨拶をすること」、これを第一に考えとった。
「うわさの紹介所」に食事に連れてってもらったわい。
温かい晩餐じゃったわい。
料理自体もな、わしみたいなもんには不釣合いな、綺麗な、おいしいものじゃった。
ヒデナガ:そうか、よかったのう。
ヒデヨシ:話自体もな、つまらないことから仕事の話まで、
ありがちなものじゃったんじゃが…
わしが、感じたものはな、「つながり」なんじゃ。
ヒデナガ:「つながり」?
ヒデヨシ:「一期一会」なんて言葉の方が、適切かもしれんな。
1人1人の人間の「つながり」を大切にする… 抽象的じゃな。
言うなればな、
わしは、「うわさの紹介所」にとってみれば、1人の登録者に過ぎんのじゃ。
何人もの登録者を抱える「紹介所」業務にとって、
理想としては、「登録者」第一にすることは、正しい。
じゃが、実際は、大切にしたくとも、限界があろうよ。
なんじゃろう、「紹介所」業務は、簡単に言えば、「縁結び」。
「仕官先」と「登録者」のな。
その間に「紹介所」という「人」が介在し、「つなぐ」。
それ以上、それ以下でもないんじゃ。
・一般的な業界の常識として、
大手の「仕官先」に対し、大量の優秀な「登録者」をつなぐ、そんな仕事を目指す方向もある。
企業(市場)原理としては、数が多い方が、より良かろうな。これは、正しい。
じゃが、果たして、そのなかの何人の「登録者」の性格や好み、「個性」を理解しておるじゃろうか?
100人送り込んだとして、その「紹介所」は、100人の「個性」のどこまでを知っておるじゃろうか?
・「つなぐ」こと。それ以上、それ以下でもない。
例えば、優秀な人材がいたとする。
そんな「登録者」に対して、「紹介所」が「つなぐ」作業はほとんど発生しない。必要が無いんじゃ。
「仕官先」に対し、登録者を紹介するだけで、後は何にもしないで、どんどん進んでしまう。
「人」(=「紹介所」)が介在する必要は、なんなんじゃろうか?
今日の晩餐は、そんなわしの疑問に対する1つの答えじゃった。
「つなぐ」ことに「人」が介在することによる、
出会い、つながり、一つ一つを大切にする、そこに「何か」を感じたんじゃな。
うん、味付けみたいなもんかな…
ヒデナガ:兄者、いったい、どこでそんな勉強をしたんじゃ…