僕が高校生の頃だったとは思うが、日本でも人工心臓の研究を懸命にやっていた。東大にいた渥美和彦教授が第一人者だったと思う。その昔、岩波新書からでていた「人工心臓」という本を読んだような記憶がある。
映画「ディア・ファミリー」は、娘の病気を治すために人工心臓を作ろうとする父親の実話である。
渥美和彦教授は、手塚治虫氏と元同級生で、鉄腕アトムを作ったお茶の水博士のモデルとも言われている。ヤギに人工心臓をつけて、長い事生存していたというレベルの話であり、それも補助心臓としての役割しかなかったように思う。完全な人間への人工心臓というのは夢のまた夢であったろう。
ブラックジャックの話の中に、人工心臓のことがでてくる。以前にも書いたことがあるのだが、「本間血腫」の回である。ブラックジャックの恩師である本間丈太郎先生に、「本間血腫には手をだしてはいけない」と言われながら、手術をすることになった。ブラック・ジャックは人工心臓を準備してその手術に望んだのだ。心臓を見て驚かされた。そこにあったのは人工心臓だったからだ。つまり、本間血腫とは、人工心臓のトラブルによるものだとわかったのだ。
今の時代、人工心臓は衰退してしまったようだ。なぜならば、心臓移植をするほうが簡単だからだ。