カスタマーハラスメント | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

東京都が、カスタマーハラスメント防止のための条例を作るという話が報道されている。民間企業は、嫌な客へのサービスを提供しなければいいと言われているが、そう簡単にも行くまい。うちのような医療機関は、診療拒否することが違法であると法律に明記されているので、どうしようもない。

 

お客さんからのカスハラを従業員が受けると、どんな苦情であっても、お客さんに謝れと会社の上部から言われて、その板挟みで苦しみ退職することがけっこうあるそうだ。

 

当院でも、患者のとんでもないクレームもくる。そのような場合には、自分は100%従業員側につく。もちろん、従業員が悪いという場合もあるが、その際は患者側の要求は受け入れ謝罪もする。しかし、こちら側に落ち度がない場合には、どんなクレームにも屈しない。

 

一番の理由は、従業員を守るということである。無条件に患者に謝れとは言わない。謝らなければならないことは謝るが、必要のない場合には毅然とした態度をとる。それにより、その患者が当院に来なくなってもまったく問題はない。カスハラをされ続けるぐらいならば、来ないほうがいい。

 

診療所の責任者として、従業員を守ることを第一に考える。客は一人二人失ってもどうということはないが、従業員は一人やめてしまえば、その損失は多きすぎる。

 

大会社の場合、責任者がその場にいないことも多いだろう。その場で客に苦情が言われても、すぐには言い返せないのかもしれない。とりあえず謝っておいて、後に上部に報告になるのだろう。その場で、争うことは考えられないということになってしまう。こうなると、従業員は板挟みにあう。そのストレスは大きいことだろう。

 

「お客様(患者様)は神様ではありません。」

これが自分の考えであり、不当な要求をする患者の言うなりになろうとはまったく思わない。むしろ、そのような患者をのさばらせておけば、他の患者への影響は半端ない。その人ひとりで終わるように、もう来ないでもらいたいとはっきり言わざるを得ない。

 

患者は神様だとはまったく思っていません。神様のように扱ってもらいたい人は、少なくとも当院には来ないでください。当院のできることは、自分の病気を治したいと思ってくる人を、少しでも早く治すことだけです。