東京都が、カスタマーハラスメント防止のための条例を作るという話が報道されている。民間企業は、嫌な客へのサービスを提供しなければいいと言われているが、そう簡単にも行くまい。うちのような医療機関は、診療拒否することが違法であると法律に明記されているので、どうしようもない。
お客さんからのカスハラを従業員が受けると、どんな苦情であっても、お客さんに謝れと会社の上部から言われて、その板挟みで苦しみ退職することがけっこうあるそうだ。
当院でも、患者のとんでもないクレームもくる。そのような場合には、自分は100%従業員側につく。もちろん、従業員が悪いという場合もあるが、その際は患者側の要求は受け入れ謝罪もする。しかし、こちら側に落ち度がない場合には、どんなクレームにも屈しない。
一番の理由は、従業員を守るということである。無条件に患者に謝れとは言わない。謝らなければならないことは謝るが、必要のない場合には毅然とした態度をとる。それにより、その患者が当院に来なくなってもまったく問題はない。カスハラをされ続けるぐらいならば、来ないほうがいい。
診療所の責任者として、従業員を守ることを第一に考える。客は一人二人失ってもどうということはないが、従業員は一人やめてしまえば、その損失は多きすぎる。
大会社の場合、責任者がその場にいないことも多いだろう。その場で客に苦情が言われても、すぐには言い返せないのかもしれない。とりあえず謝っておいて、後に上部に報告になるのだろう。その場で、争うことは考えられないということになってしまう。こうなると、従業員は板挟みにあう。そのストレスは大きいことだろう。
「お客様(患者様)は神様ではありません。」
これが自分の考えであり、不当な要求をする患者の言うなりになろうとはまったく思わない。むしろ、そのような患者をのさばらせておけば、他の患者への影響は半端ない。その人ひとりで終わるように、もう来ないでもらいたいとはっきり言わざるを得ない。
患者は神様だとはまったく思っていません。神様のように扱ってもらいたい人は、少なくとも当院には来ないでください。当院のできることは、自分の病気を治したいと思ってくる人を、少しでも早く治すことだけです。