風邪という診断が、信じてもらえない時期 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

コロナがあけて、コロナ患者がめっきり減ってきました。しかし、コロナの患者はときどききます。

 

発熱しましたと受診する患者がいます。

コロナかもしれないので、コロナ検査をして陰性になりました。

ここからが問題です。

「コロナでなければなんですか。絶対にコロナだと思ってきたのに。」

「風邪ですね。」

「風邪のわけないでしょう。熱がでているんですよ。このやぶ医者。」

 

こんな会話をする患者が増えました。熱がでるとすべてコロナと思う患者です。もちろん、検査をして陰性なのだから、コロナは否定されたとすんなり思ってくれればいいわけです。ところが、その患者の頭の中はコロナで占拠されており、他の病気はありえないのです。

 

「いや、いや、コロナの患者もときどき来ますが、コロナよりも風邪のほうが10倍ぐらい多いんですよ。」

 

コロナがはやる前は、「熱がでたので、風邪ですね」が普通に受け取られていたのですが、コロナが広がると、風邪という診断はありえないとなってしまったのです。

 

コロナが大流行したときも、風邪の人はけっこういたんですけどね。コロナが風邪という病気を吹き飛ばしてしまったようです。