特に医師国家試験にははっきり言える。医師免許をもっていても、医師として働かなければ意味がない。
医師免許がなければ、医師としては働けない。最低限の条件である。しかし、医師免許があるからといって、医療知識があるわけではない。
医師の場合、医師免許をとってからがすべて。そこからどう勉強して、どう経験を積んでいくかがすべてである。
別の資格で言うのならば、調理師免許をとっていても、調理がうまいわけではないということかな。理容師免許をとっていても、髪の毛をうまく散髪できるわけではないも同じかな。
医学部を卒業しないと医師国家試験の受験資格がない。このため、医師免許を取得するまでのハードルは高い。しかし、医師として働いていくためには、その後の研修がすべてである。
いい医師と、だめな医師の差は、医師国家試験の成績ではない。医師免許をとってから、どれだけ真剣に医療に取り組んできたかで決まる。
日曜夜のテレビドラマ「アンチヒーロー」というのは優秀な弁護士の話である。司法試験をとったからといって、あのような高度な弁護を展開できるとは思えない。やはり弁護士としての経験がものをいう。
資格をとったことを自慢気に言う人がいるとすれば、その内実はおろそかだと思う。
僕自身医師として何十年も働いてきているが、「医師免許をもっている」と言ったことはほとんどない。医師として当たり前の話だからだ。逆に「医師免許をもっている」とわざわざ言わなければならないのは、医師として働いていない、働けない人である。