一部しか調べないのが開業医、全部調べるのが病院 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

めまいの患者が受診してきます。症状、持病、年齢などを考えて、脳梗塞など脳疾患の可能性があれば、開業医は脳MRIをとることでしょう。ただ、症状から脳梗塞が起こる可能性が100~1000人に一人ぐらいであれば、最初から調べずに、様子を見ます。もちろん、症状の悪化などがあれば、あとで調べるかもしれません。ほおっておいてはダメだろうと思えば、大病院に紹介をするかもしれません。紹介する患者は100人に一人ぐらいになっていることでしょう。

 

大病院では、開業医のスクリーニングを経て患者がやってきます。こうなると、くまなく全員精査です。全員に脳MRIをとることでしょう。脳疾患がないと思っても、紹介されてきた以上は調べないわけにはいきません。調べずに放置して、後に脳疾患があったとわかれば、大事になりかねないので、ほとんど何らかの検査を入れると思います。めまいであれば、最低限脳のMRIなどはとると思います。

 

患者さんにとっては、大病院だとすごく検査をしてくれて、病気を見つけてくれるから安心だと思うかもしれません。実は、すでに開業医がスクリーニングをかけて、大病院に送った患者だから、異常が指摘される可能性が高いのです。

 

めまいが起こる患者はすごく多いですから、それを全員検査をしていたら、病院の診療は滞ります。このため、紹介患者しかみないように制限するのです。まずは開業医がみて、何かありそうだったら病院に紹介してくださいというのが基本です。多くは開業医レベルでなんとかなってしまいます。