APDの本を書きたくはなかった | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

本音で言うと、APDの本を書きたくはなかったのです。

 

その理由は、面倒くさいから。

 

素人の人は、本を書けば印税ががっぽり入ってくるかと思います。それはベストセラー作家の話です。そのような人たちは年間印税が1000万円以上はいってくるのかもしれません。

 

しかし、専門書はほとんどうれません。自分がAPDの本を書いて入ってきた印税は、本を書いた手間賃ぐらいのものです。はっきりいうと、その分を診療していたほうがもうかったことでしょう。

 

APDの情報を求める人がたくさんいるのはわかっていました。その人たちにAPDのことをわかってもらいたい。そのような思いで書き上げました。

 

最初に原稿をざっと書いてしまい、その原稿を、あさ出版という知り合いの編集者の人に見てもらいました。「こういう本をだしたいのだけど、お宅の出版社でだしてくれませんか?」と。もちろん、バカ売れするような本ではないので、聞いてみたわけです。本出版にOKをもらえたので、イラストなどを加えてわかりやすくしてもらい、出版されました。

 

ちなみになぜあさ出版だったのかというと、堀田先生のBスポット療法の本をだしていたからです。その関係で編集者の人と知り合い、医療関係の本をだしているので、脈があるかもと相談したわけです。

 

当時のAPDは専門書と医学論文しかなかったのです。当時はほとんどがネットからAPD情報を得ていました。ネット記事の多くは、APDと診断された当事者が書いており、誰が書いたものなのかも記載されていないものがほとんどでした。つまい、書いた原稿にまったく信頼性がないのです。多くはまともな記事でしたが、ウソ記事が入ってきても、おかしくはない状態です。今の時代だったら、ウソ記事のオンパレードになりますよ。ネットほどウソを書きやすく、ウソが広がりやすいところはないですからね。

 

だから、本当は面倒だからAPDの本を書きたくはなかったのです。でも、日々くる患者さんを目の前で診察していると、この人たちのために、まだ診断がついていない人たちのために、APDの情報をきちっと伝えていかなければならない。そう思ったのです。受診してきた患者には「そのうちAPDの本を書くからね」と半年ぐらい言い続けていました。さすがに書かないと嘘つきになってしまうと、焦って書いたのです。

 

実は同時期にAPDのサイトも立ち上げています。サイトのほうは修正がリアルにできるので、本よりは動きが軽いからです。

 

本の執筆二日間、サイトの作成一日でした。やろうと思えばすぐにできるのですが、なにぶん面倒くさがりなもので、動くまでが大変です。