酔っぱらって寝ていただけの患者 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

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以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

公園で酔っ払いが寝ていた。

人が倒れていると救急通報があり、当院に運ばれてきた。本人としては気持ちよく寝ていただけなのだろうが、外傷でもあったら大変である。

 

救急隊は呼ばれれば、その人を救急搬送せざるをえない。救急病院に勤務する当直医にとっては、その人が帰宅しても問題ないかどうかを調べないわけにはいかない。病院にきた以上は、すぐに帰すわけにはいかない。

 

とりあえず、頭のCTをとりましょう。

 

ところが、その酔っ払いはおとなしくCTをとらせてくれない。大暴れするので、放射線技師さんら二人でおさえつけてCTをとった。幸い、頭には何も異常はない。

 

本人は公園で寝ているだけだったのだろうが、脳出血でも起こして倒れているかどうかは誰にもわからないのだ。

 

もう10年以上前の話になるが、道端に男の人が座り込んでいた。たまたま通りがかり、顔をみると、眼球変位がある。おそらく脳出血なのだろう。なんとかしないとと思っていると、前から救急車のサイレンが聞こえてきた。誰かが通報したのであろう。救急車で搬送するしかない。自分にできることは何もない。あとの処理は救急車に任せて、その場を去ることにした。

 

酔っぱらって寝ている人もいるし、具合が悪くて意識がない人もいる。簡単には判別しづらい。酒の匂いがしていたら、たぶん誰も近寄って来ないことだろう。よっぱらって転倒して脳外傷という可能性もありうるが。そういう人は運が悪かったと思ってもらうしかない。