麻疹報道がなされればなされるほど、麻疹ワクチン不足がひどくなる(1) | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

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以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

麻疹は重症化する。感染力が極めて高い。

これだけの報道をみると事実なのだけど、大きな勘違いをしてしまう。高齢者がワクチンをうつ必要はないのだ。

 

実は、自分は麻疹ワクチンをうっていない。昭和47年前に生まれた人は、麻疹ワクチンは定期接種になっていなかったので、ほとんどうっていないのだ。

 

その昔、麻疹患者を目の前で診察した。しかしうつらなかった。当たり前である。子供の頃に、麻疹にかかってしまっているからだ。ひとたび麻疹にかかれば、一生免疫が続く。だから、麻疹にかかるわけがない。

 

60歳以上の人たちは、子供のころにまだまだ麻疹は多かったはずである。子供の頃に一度はかかる病気が麻疹だったのだ。昭和47年ごろから、麻疹ワクチンをどんどんうちはじめ、麻疹の発生はまれになってしまった。その結果、麻疹にうつったことがない人だらけになってしまったのだ。こうなると、ワクチンうっていない人は免疫がつかない。

 

1歳ごろから麻疹の予防接種ははじまる。定期接種であり、無料で受けられる。しかし、ワクチン怖いから、面倒だからとうたない人が増えてしまった。そのような人たちは容易に麻疹にかかる。すでにこのブログん書いたように、同じ建物の中にいればうつってしまう。電車でも、バスでも、一人患者がいれば、その中の人はみんなうつる。これを防ぐにはワクチン接種しかない。

 

コロナ禍になり、医療機関に行くのが怖いと、たかがコロナに感染するのが怖いと、もっと怖い麻疹の予防接種を受けない人が増えてしまった。当院でも予防接種のうちびかえがなくなるようにと、クリーンタイムをもうけて、この時間は風邪症状の人はみませんとやってきたが、焼け石に水状態だろう。この時間は安心だからと何人の人が、子供の予防接種にきただろうか。