重症のスギ花粉症 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

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以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

重症のスギ花粉症には、舌下免疫療法が効く。重症でなくても効くが、ここでは一応重症の話をしていく。

 

ただ、自称重症者がかなり多い。薬がまったく効かないからスギの花粉症が重いというのだが、よくよく話を聞いてみると、アレグラという一番弱い花粉症の薬しか飲んでいない。薬が効かないから重症だというわけだ。

 

今年、スギ花粉の飛散量はかなり多かった。このため、薬を多くだした。多い人になると、内服薬3種類に、点鼻薬も併用する。それでも全然症状がよくならないという人は重症であり、レーザーによる粘膜焼灼や、舌下免疫療法の適応になる。舌下免疫療法がすごく効果がでるだろう。

 

ところが、内服薬一つで効かないから重症だと主張する人が多い。そもそも軽症者用の薬しかだされていないのだ。他の薬を併用すればいいのだが、非耳鼻科医となると薬を知らないからという理由で、一つしか薬をださない医者が多い。つまり、まともな治療を受けていないから症状が楽にならず、重症のように思われてしまうのだ。

 

軽症者であっても、舌下免疫療法は効果がでる。しかし、一年中薬を使わなければならない治療なので、導入はやさしくても、継続は難しい。たかが2か月のスギ花粉症をおさえるために、無症状の10か月の間、薬を使いつづけなければならないからだ。

 

薬一剤しか飲んでいない、自称重症スギ花粉症患者にいつもこう言ってしまう。自分に治療をさせてほしい。そうすれば、2か月だけの内服で症状をおさえてみせるから。1年中薬を使い続けなければならないのは時間的にも金銭的にも負担が大きい。短期間の治療ですむのなら、そのほうがいい。