聴力異常をどうとらえるか | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

他の耳鼻科でやった検査はあてにしない。

いつもこのように言っている。

実は検査の結果よりも、医者の評価を疑っているのです。直接検査の結果をもってきた人は別ですが、その耳鼻科医が「異常なし」と言ったことを疑っているのです。

 

3か所の耳鼻科で聴力異常ないと言われたので、APD(聴覚情報処理障害)だと思って当院受診してきましたという患者がいました。ところが、高音部に50dBぐらいの難聴があるのです。この部位の難聴は子音の聞き取りに影響がでやすいのです。その患者さんは3か所の耳鼻科を受診し、すべて聴力には異常なしと言われて、当院を受診してきました。こういう難聴を異常なしと言うのがよく理解できないのです。日常会話には問題ありませんというのならまだわかりますが。もっとも日常会話に問題があるからこそ、受診をしているわけです。この患者さん以来、他の耳鼻科で異常なしと言われた聴力検査結果を信じないようになりました。検査結果がおかしいのではなく、その解釈がおかしいのです。