インクルーシブ教育は誰のため? | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

障害者の教育は、分けるよりも、インクルーシブのほうがいいと言われるようになりました。インクルーシブ教育とは、障害のある人も、ない人も一緒に学ぼうというものです。

 

インクルーシブ教育にはメリット、デメリットがあります。メリットは、障害のない子ども側に多いように思います。障害がある子どもが身近にいることによって、多様性の考え方が育ちます。

 

僕自身小学校のときに、両足が不自由な子どもや、知的障害がある子どもと同じクラスでした。ふたりとも途中から障害児の学校にうつってしまいましたが、何年間ですが一緒に学んだことは心に深く残っています。自分が障害者運動に関わっているのも、ここに原点があると思います。もし、そのような子どもを見ることがなければ、障害児とは恐れるべき存在であり、その子らのことは一生知らずに生きてきたことでしょう。

 

ところが、そのような障害をもった子供は、他の子供と同じ教育を受けられるでしょうか。授業ではとりのこされて、まったくのお客さん状態になるのは目に見えています。先生たちもその子らを特別扱いすることは難しいことでしょう。

 

高度難聴があり、普通高校に通っていた人がいました。高校の中で、完全にいじめ状態なのです。障害があることをからかわれ続けるのです。他人とは違う。これだけでも簡単にいじめのターゲットになる世の中ですから、障害があったらまずいちばんにいじめられて苦しい学校生活をおくることになることでしょう。

 

障害をもっている子供にとっては、普通のこどもの学校に通うことは非常につらいことだと容易に想像できます。通いたがる、通わせたがるのは本人ではなくて、親なのだと思います。

 

いじめが本格的ではない小学生ぐらいまでならいいかもしれませんが、中学生にもなるといいことはないように思います。