こんな患者が立て続けに来ています。
もちろん、速攻でお断りします。
うちでみていた患者ではないので、何のアレルギーで、どう食物制限しているのかもよくわからないのです。今までずっと食べ物の制限をしていたんだけど、いろいろ食べさせたいから、食べていいという診断書を書いてほしいというのです。
今までずっと食事制限していて、急に食べれば下手すれば死にますよ。診断書があると言われれば、医者に責任転嫁されます。僕は絶対に断りますが、当院の小児科医も同じ意見です。それは食物制限をした医者が責任持って判断して書くべきなのです。診断書を書くのにも、命がけですけどね。
今の医療の問題点を書きます。
保育園に入る前に、「食物アレルギーがあるか調べてほしい」という要望が多いのです。この年令に食物アレルギー検査をすれば、かなり陽性になります。陽性になったものをかたっぱしから、食事制限されて、何年もにわたり、それが食べられなくなります。血液検査で陽性にでても、実際は食べられることが多いのですが、ずっと食べないことにより、食事を再開したときに、すごいアレルギー反応がでて、死ぬ可能性がでてきてしまいます。
つまり、食事を制限するのは簡単だけど、解除するときは、すごく危険なのです。
何かをたべてアレルギーがでたものは、血液検査で調べて、当面は食べないことは必要だと思います。しかし、食べても全然なにも起こっていないのに、血液検査で陽性になったからという理由で制限をされると、大人になってもずっと食べられません。こうなると、日常生活はすごく大変になります。
つまり、症状もないのに血液検査をして、陽性になったものを片っ端から食事制限をするべきではないのです。
今の食物アレルギー理論では、制限を最低限にして、少しずつ食べさせながら様子をみるのがベストです。成長すればほとんど食べられるようになるからですね。
血液検査して陽性。はい、一生食事制限。
こんなことが今もまかり通っているわけです。もはや20年前の治療じゃないですか。無駄な検査をやめるべきタイミングはとっくに来ていると思いますが、保育園が求めるからという理由で、検査して食事制限。保育園にとっては、子供をあずかっている間に、食物アレルギーがでたら困るけど、卒園したらどうでもいいということなのでしょう。小児科医は卒業したってかかわっていかなければならないのですが、食事の解除は怖いし、面倒なので、ずっと制限を続けるのです。
制限した以上は、その医師が責任持って解除を考えてほしいものです。