髪の毛の話 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

髪の毛が薄い同級生がいた。風貌ばかりではなく、態度もふてぶてしいので、かなり年上の人なんだろうと誰もが思っていた。みんなが「○○さん」と敬語で呼んでしまうような人だった。しかし、彼は実は自分より年下だった。

 

若禿だったのだが、入学時はまだ10代だったのだ。髪の薄い彼が、あるとき、髪の毛がフサフサになって学校に来た。誰もが、「カツラをつけてきた」と理解した。アデランスである。そのカツラに30万円かかったそうだ。

 

多くの人がこの値段を聞いて驚いた。まだ昭和の時代である。カツラに30万円!しかし、同級生の評価は違った。その値段には驚いたのだが、「安い!」と思ったのだった。今まで老けていた彼が、カツラをかぶって、10歳以上若返った。30万円で人生変わるのならば、非常に安いということであった。

 

ただ、これには後日談がある。その後の髪の修正などで、費用は車一台分にもなってしまったそうだ。30万円どころではなかったのだ。

 

僕自身髪の毛が薄いことで悩んだことがない。このため、薄毛の悩みはさっぱり理解できない。

 

最新の毛生え薬は非常に効果があると、皮膚科の医師が言っていた。毛生え薬を使うとかなり毛がはえてくるらしい。ただし、その費用はバカにならない。薬を使わなくなるとまた薄くなってしまうので、使い続けるしかないそうだ。いつまで薬を使うかが問題になる。

 

若くて独身の間は、髪の毛の維持にお金をかけるのは男性にとっては非常に意味がある。しかし、結婚して中年になってまで、金をかけて髪の毛を維持することは費用対効果が低くなる。もう諦めてもいいのではないか。中年にもなれば、禿げていてもおかしくはないのだから。

 

自分の知る医師は、髪の毛がうすいのを気にしていた。あるとき、スキンヘッドにしてきた。完全に髪の毛をそってきたのだ。周囲はざわついた。しかし、数日もすると誰も髪の毛のことを言わなくなった。逆に「スキンヘッドのほうが潔くて、かっこいい」そのような評価になった。変に髪の毛がうすいことを気にしているよりもいいというのだ。

 

自分が心配しているほど、周囲は気にしていないものである。