医療保険を利用する以上はそのルールに従わなければならない。サッカーの試合をする以上は、サッカーのルールに従うようなものだ。サッカーでは手をつかってはならない。その共通ルールの上に試合がなされるべきである。自分は点を取りやすいから手を使うということがあってはならない。
医療保険にもさまざまなルールがある。そのルールをきっちり知らないと診療できないわけだが、開業に至るまで細かなルールを知らない医者も多い。
僕自身も多くの医療保険のルールを開業してから知った。開業してはじめて勉強したと言ってもいいかもしれない。病院の中ではさまざまなルール違反をしていたのかもしれないが、事務員などがうまく処理していて、それを注意されることはなかった。
開業しながらも、保険ルールをまったく知らずに診療している医者もけっこういる。ルールが違うと処分をされることがある。その場合には保険診療からお金が払われない。そうなるとむちゃくちゃ激怒する医師がいる。
僕自身、保険の審査員のような仕事をしているから、ルールを知らずに激怒している医師はよく見る。「サッカーで手を使うのはなぜだめなんだ」といかっているのだ。「それがルールだからしかたないです」と説明しても、怒りはおさまらない場合も多いようだ。
医学的に正しいことと、保険上のルールは違う。医学上は正しくても、保険上は認められないことも多い。医療保険を使う以上は、医学上正しいかどうかではなく、保険上正しいかどうかを考える必要がある。
医療保険のルールを学ぶべきだと主張しても、「そんなの興味ない」と一蹴されてしまう。