もう35年も前のことになるか。たまたま、大学のある仙台から東京にもどっていた。広島の優勝まじかであることは知っていたが、その試合が神宮球場でのヤクルト戦であることに気づいた。いてもたってもいられなくなり、神宮球場の当日券売り場でならんでいた。
試合はすでにはじまっていた。早く球場に入りたいのだが、長い列はなかなか進まない。そのとき、すごい歓声が球場内から響いた。ラジオで確認すると、広島の長嶋が1回に満塁ホームランをうったようだ。その後、球場に入れたが、この4点以外にはまったく得点がはいらなかったように覚えている。
そして最終回、ストッパーの津田がでてきた。最後を締めた。広島の優勝である。神宮球場の9割ぐらいは広島ファンだったのではないだろうか。優勝の胴上げがはじまり、監督などのインタビューが行われる。
その後の事態にびっくりした。
「試合は終了になりました。お早くおかえりください。」
これがビジターなのだ。優勝の余韻など関係ない。すぐにライトを消し始める。
試合の途中で抜けないと帰りの新幹線には間に合わないのはわかっていた。しかし、最後まで優勝を見届けたいと残っていたら、最終新幹線に乗り遅れた。翌日大学に行かなければならなかったので、深夜の鈍行でもどることにした。真夜中に福島駅までたどりつき、そこで数時間時間をつぶして、始発の列車で仙台に帰った。