救急病院への補助金 | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

救急医療というのは、赤字部門である。真面目にやればやるほど、赤字を生み出していく。どこの病院も救急事業をやりたがらない。本来ならば、命を救うという医療の本質が、もっともやりたがらないところになってしまう。

 

これを防ぐために、国などは補助金をだしている。救急病院には補助金がでる。それにより赤字を補填し、救急医療をキープしているのだ。

 

大きな病院は救急医療を行っている。それが病院の役割である。重症の救急患者は大病院に運ばれ、きちっと診察治療をしてもらえるだろう。

 

一方で、小さな救急病院は、救急患者をなかなか受け取らない。病院が小さいので設備が悪いということもあるのだろうが、救急患者を断り続けている。そんな病院であるならば、救急病院などにならなければいいのにと思う。しかし、一度救急病院になれば、そこに補助金がでるようである。救急患者をみたかどうかではなく、救急病院であることで補助金をもらえる。つまり、救急病院になって補助金をもらったら、救急患者をみないのが一番もうかるというシステムになってしまっている。

 

自分の知り合い医師で、日本ではじめて救急クリニックを立ち上げた人がいる。救急医療機関として申請をだしたが、かなりの期間却下されつづけたそうだ。認められない理由は、病院ではないからである。入院設備のないクリニックに、救急の補助金をだした前例がないというのが拒否の理由だったようだ。そこのクリニックは入院設備さえないものの、ばんばん救急患者を受け入れて診察している。入院が必要な場合には、他の救急病院に転送しているそうだ。軽症患者が救急病院に殺到するのを防ぐために、救急クリニックをたちあげたそうだ。そこが軽い急患をどんどん診察するから、大病院は重症患者の治療に専念してほしい。それがこの医師の思いである。

 

救急患者への補助金も、一人急患をみたらいくら払うという出来高払いにすべきだと思う。いくらみても補助金をまったくもらえないところもあれば、ほとんど急患を診ていないのに、補助金だけは大量にもらっている病院も存在する。