医療機関での薬品の仕入れ | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

耳鼻科医として、ときどき小児科医として

以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

病院でも、クリニックでも同じだとは思うが、購入必要なものは、卸(おろし)と言われる会社が一手に引き受ける。

 

つまり、点滴の薬を購入したい場合には、その薬を作っている会社から仕入れるのではなく、医療卸の会社に注文するのだ。すると、各メーカーから仕入れてくれる。仲介業者のようなものである。

 

大手4者ぐらいが存在し、そのどこから取引をするかは、各医療機関で違っている。当院でも数社の卸会社と取引をしている。クリニック内の必要なものは、その卸会社を通じて仕入れることになる。

 

インフルエンザワクチンを注文しようとしたら、卸の会社からストップがかかった。納入限度額を超えているので取引はできないというのだ。令和元年の収支が赤字だから、これ以上は取引できないというわけだ。しかし、令和2年度の決算表を出してもらえれば、それが黒字であれば、OKだと言ってきた。

 

令和元年1月からコロナが日本ではやりはじめた。日本の耳鼻咽喉科クリニックの患者が減ったのは、令和元年3月中旬からである。それまでは黒字クリニックだったのだが、そこを機会に一気に患者が激減した。都内ではほとんどの耳鼻科クリニックが赤字になったことだろう。もちろん、患者が増えてくるまでの間、金融機関から借金をして補っている。国も金融機関もお金を貸すことには非常に積極的であり、赤字分を補填できる資金は借りることができた。しかし、赤字は赤字である。追加で借金をしたということは赤字である。

 

卸の会社にとっては、都内の医療機関がどこも同じような状況であることはわかっているはずだ。赤字だから取引できないと言ってきた。取引してほしければ、令和2年の決算書をだせという。黒字なら考えるということのようだが、はっきりいって、令和2年度期も赤字である。決算書をだしても認められるはずがない。それも医療機関に詳しい、卸の会社ならわかっているはずだろう。

 

ようやく最近持ち直してきた。令和3年度はなんとか黒字になるかもしれないというレベルである。

 

赤字ではあるが、借金ができたので資金には余裕がある。結局、現金先払いするということで手をうった。

 

当院はかなり黒字をだし、この卸の会社もかなりもうけさせてあげたと思っていたが、いざ赤字になるととたんに冷たいものである。当院のことはまったく信用されていないようだ。

 

もっともそこはお互い様で、うちもこの卸の会社のことは信頼していない。最近はもっぱら別の卸会社のほうに注文をするようにしているのだ。

 

もちろん、卸会社も当院を評価する。当院も卸会社を評価する。信頼おけないところとは取引をしない。当たり前の話である。

 

この卸会社が危ないから、このような措置をとるのかもしれない。すでに倒産医療機関をいくつも抱えているのだろうか。卸の会社が倒産しても、うちが損害を追うことはほとんどないのだが、インフルワクチン代先払いだと、その分損害を受けるかもしれないなあ。たいした額ではないので、たとえ潰れても、擦り傷ぐらいにしかならないが。

 

この一件により、信頼おけない会社との取引はどんどん縮小していこうと思う。逆この卸会社危なそうと思ってしまう。一応、名前はさらさないでおこう。ただ、他のところにも同じようなことを言ってくると思うので、どこの卸会社かは、医療機関経営者ならすぐわかってしまうかもしれない。