社長入門講座  -217ページ目

GWに読むべきお薦めの本は何ですか?

◆ユウタの質問◆

これからゴールデンウィークに入りますが、この時間を有効的に使いたいと思います。
 日頃は雑誌を流し読みする程度で、じっくりと本を読むことができていません。
 この期間には中身の濃い本で経営としての自分を成長させる勉強をしたいと思っています。
 そのために、どんな本を読めば良いですか。

◆孔明の回答◆

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 「自分の骨となり肉となる本を読みなさい」
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君は安直な方法い走らず、内容のある本も読んでみようということなので素晴らしいよ。

最近のビジネス書は、
楽をして成果を出すとか、
すぐに効果を出すとか、
非常に安直な風潮があり、嘆かわしい。

楽しく仕事をすることは大切だし、効率良く仕事をすることも大切だが、
あまりにも安直な深さのない書物があふれている。

誤解を恐れずに言うならば、出版社はじめマスコミは出版部数を伸ばすためには、
努力なし結果が得られるような幻想を抱かせるタイトルをつけることに終始しているよね。

もっとも、出版もビジネスだから売れるものを作れなければ元も子もないというのは事実だがね。

逆から見れば、現代人が安直なものを求めているという心理構造が浮かび上がってくるのだがね。

しかし、10年、20年たっても朽ちない本も沢山あるから、ぜひそんな本を読んでほしいね。

では、本題に入ろう。

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  情報媒体には3つのレベルを見極めよ
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まず、情報媒体の特性について話しておこう。
紙の情報媒体には、大きく分けると新聞、週刊誌、書籍とある。

これらを魚に例えると、

1.新聞や週刊誌は刺身
2.流行の書籍は干物
3.原理や本質を書いた書籍は鰹節

といったことになるよね。

プリプリした刺身はとものおいしいが傷むのが早く古くなると食中毒を起こす。

脂の乗った干物は絶品だが、質の悪い素材を味噌やみりんで味付けをしたまがい物も多く出まわっている。

鰹節は硬くて噛めない。しかし、時間をかけてつくるから、賞味期間のながくて味が深い。
引かえ目だが、吸い物や煮物にすると野菜など他の食材の味を引き出す役割ができる。

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  お薦めの20冊
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ここで、鰹節のような味わい深い本を20冊を紹介しよう。


◎ビジネスの原理がわかる本
 トヨタ生産方式(大野耐一)・・・トヨタのもの作りの原点がここにある
 ビジョナリーカンパニー2(ジェームス・C・コリンズ)・・・100年ビジョンのモデル
 マッキンゼー現代の経営戦略(大前研一)・・・経営戦略の考え方の原理がここにある
 実学(稲盛和夫)・・・キャッシュフロー経営のすすめ
 ローマ人の物語(塩野七生)・・・400年以上続いたローマ帝国の国造りの思想がわかる
 失敗の本質(野中郁次郎、他)・・・失敗のもとは成功体験、危機管理の書でもある
 
◎前向きな自分を作る本
 7つの習慣(スティーブン・R・コビー)・・・自分の成功と人の成功を生み出す方程式がわかる
 プロフェッショナルの条件(ピーター・F・ドラッカー)・・・仕事に取り組む意識が変わる本
 成功の9ステップ(ジェームス・スキナー)・・・健康から始まり理想の自分の作り方がわかる
 人生を変えた贈り物(アンソニー・ロビンズ)・・・強い気持ちの作り方がわかる
 思考は現実化する(ナポレオン・ヒル)・・・成功哲学の原点の

◎スキルを磨く本
 心を動かす話し方(デール・カーネギー)・・・リーダー必読の書
 アイデアのつくり方(ジェームス・W・ヤング)・・・アイデアが生まれるまでのプロセスがわかる
 天才の世界(湯川秀樹)・・・創造性とは何かを述べたもの
 EQ心の知能指数(ダニエル・ゴールマン)・・・社会生活において大切な心の原理がわかる

◎生き方を考える本
 竜馬が行く(司馬遼太郎)・・・先見性と行動力で時代を変えた無私の生き方を学ぶ
 私の行き方(小林一三)・・・阪急電鉄の創始者の人生と発想がわかる
 スターバックス成功物語(ハワード・シュルツ)・・・苦難を乗り越えて成功した起業家の姿が見える
 三国志(羅貫中)・・・混乱の時代の生き方がわかる
 壬生義士伝(浅田次郎)・・・家族のために動乱の世を生きる男の物語

いずれも、人間の本質に迫るものでありる。

例えば、「竜馬がゆく」などは30年ぶりに読んでも、学生時代と変わらず心踊る名作だね。
この不透明な時代に進むべき指針を示してくれている気がするね。

これらは私にとって、単なる知識としてではなくその原理や思考が潜在意識に中に入り込んで、
無意識で思考や行動の中に入り込んでいるものだ。

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 自分の人生を変えるような本を見つけ出しなさい。
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君は何から始めるかね?

読んだあと、これという本があれば、是非感想を聞かせてくれるかね。




親の会社に入って最初にやるべきことは何でしょうか?

◆ユウタの質問◆

孔明先生に頂いた「100年発展する会社づくり」のコンセプトに感銘を受けて、親の会社に入ることを決意しました。
次期社長ということを社員にわかるようにするため、最初から取締役として入社することになりそうです。
しかし、まだ会社のことはよく分ってませんので、最初は勉強ばかりと思います。

一日も早く会社のことを理解し社員の信頼を獲得するために、親の会社に入って最初にやるべきことは何でしょうか?


◆孔明の回答◆

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「まず、人の嫌がることをやりなさい」
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親の会社に入る時、親は子供を後継者として、入社早々取締役にするなどそのポジションを明確にしようとすることは多い。
それ自体悪いことではないが、いくつか問題を引き起こるよ。

ベテラン幹部などは後継者に気をつかいながら、同時にお手並み拝見という微妙な状況になるよね。

その雰囲気から、
後継者自身も無様な真似はできないとプレッシャーがかかり、手柄を立てて、恰好をつけようとしがちだ。

無理に存在価値を示そうとすると、KY状態になって空まわりして、浮いた状況になってしまうケースはよく見かけるね。

あせらず、じっくり会社の実態を理解することから、始めることが肝要だよ。


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現場に入って、クレーム処理、売掛金の回収や在庫処分などの問題解決をしなさい。
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恰好が悪く辛い仕事だが、会社の問題点が凝縮された場所だ。
そこを見れば、会社の何が悪いかがすべて分かるのだ。

理論ではなく現場の情報をもとに改善に取り組くむことができる。

クレーム処理ではお客様の不満と社内の改善点がわかる。

売掛金の回収では、お客様の抱えている不満、お客様の信用状態、交渉力と法律の知識が、
そして会社のキャッシュフローの掌握力が身に付く。

在庫処分では、販売見込みの精度の悪さ、生産方法と仕入方法の悪さ、物流コントロールの改善課題から、
キャッシュフロー、無駄な経費の発生状況まで、会社の恥部を知ることになる。

それらの問題の解決は、部門ごとの対応では解決しない問題であり、全社的な取り組みが必要なことばかりだ。

そして、現場で苦労している人たちの不満の声も聞けることになるよ。

中小企業で部門をまたがる全社的な問題解決は、社長以外できないのが一般的だから、
臭い部分にメスを入れることは、経営上とても大切なことだ。

聖域なき改革はそこから生まれるんだ。


膏薬はりでない取り組みは、後継者が第一優先で取り組むべき課題だ。
最初から後継者は部下を使ってマネジメントに専念し、現場は部下に任せるというのは間違いだよ。

まず、自分が臭い部分に手をつけることだよ。


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美味しい漬物は、手をかけられた“ぬか床”からできる
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手が臭くなっても現場に入り、現場に新たしい空気を入れることから会社は利益を生み出すのだよ。


経営の仕事は、人を動かすことで成果を生み出すことだが、人を動かす影響力の源は”事実”だ。

まだ、実績もなく権限ましてカリスマ性がない状態では、まず事実の力を使うことが武器になる。

現実を知れば自分なりの意見も言えるようになる。


そして何よりも大切なことは、人が嫌がる仕事に率先して取り組んでいるいう姿ことが、
リーダーとしての評価を獲得することになる。

ベテラン幹部のやり方が古くて、馬鹿に見えることも少なからずあると思うが、
決して小馬鹿にした態度を取らないことだ。


くれぐれも、恰好をつけようとせず、現場に入りなさい。

”ぬか床”に手を入れなさい。

成長の見込みのない家業を継ぐべきか否か迷っています。

◆ユウタの質問◆

親父の会社に入るか否か迷っています。現在、銀行に勤めていて今はとても仕事が楽しいのですが、
親父から自分の会社の後を継ぐように言われています。
しかし、成長の見込みのない事業を引き継ぐのは嫌です。どうすればよいでしょうか?


◆孔明の回答◆

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  100年成長し続ける会社を作るつもりで後を継ぎなさい。
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どちらの道を選ぶかは、自分の人生観で選択をするものだよ。

大企業は確かに安定しているようだが、大企業といえども将来を保証するものは何もない。
またお父さんの会社を継ぐことも決して楽な道ではないよ。

しかし、大きな違いは自分で自分の仕事を決めることができるかどうかだよ。

大企業であれば自分の仕事は会社からの命令で決まるけど、中小企業の経営をするということは、すべて自分で自分の仕事を決め、同時に全責任をとることになるよ。

会社という組織に依存した生き方をするか、自分で裁量権と責任をもって生きていくかそうかの大きな分岐点だ。


お父さんのやっている事業は成長の見込みがないといっているが、事業は常に環境変化に対応することが必要だし、仮にいま好調な事業でも努力を怠ればいつかは衰退するものだよ。

いま成長性がないから駄目だと考えるのではなく、
閉塞感ある状況を自分の能力で打破できるチャンスがあると考えてはどうだろうか。

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  後継者で会社を大きく飛躍させた経営者
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実家の家業を継いで事業を革新し、大きく成長した会社もたくさんあるよ。

代表例でいうと、ユニクロの柳井正社長、そして今は亡くなられたがヤマト運輸の小倉昌男さんなど日本を代表する会社に育てた人がいるよ。

柳井さんは、イオン(当時ジャスコ)を辞めて、実家の洋品店である小郡商事を継いだ。
その後、世界のアパレル業界を研究してSPAという製造小売りという新たな業態を開発した。
紆余曲折はあったけれども今では日本を代表する会社になったよね。

小倉さんは、東京大学を卒業後家業のヤマト運輸に入社しそうだ。
エリートだったので会社では甘ちゃんの机上論者とベテラン幹部から言われ浮いていたことのあったそうだ。当時は長距離便が主流で、関東一円の近距離運送を得意としていたヤマト運輸は業績不振だった。
新社長になった小倉さんは、ドア・ツー・ドア個別配送需要の広がりを予見し、宅配便事業に転換していったのだ。


ここで、注意すべきことを言っておく。

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  安易な気持ちで親の会社に入らないこと
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例えば、

親のために、後を継いでやる
親の会社であればすぐに役員になれて、収入が増える
中小企業の社員はレベルが低いから、大企業のやり方を会社で教えてやろう

など、安易で奢った考え方であれば、決して入社すべきではないよ。


お父さんの生き方や仕事の仕方に反発を感じることもあると思うが、その生き方に尊敬の念を抱けることも大切な要素だ。


現在で判断するのではなく、将来に向けて会社の経営資源を生かしながら、新たな事業を創造する心構えが有るならばお父さんの会社の後をとりなさい。

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 これから100年成長し続ける会社を作ること目標にして、家業を継ぐのも立派な人生の選択だよ。
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