宝塚星組全国ツアー神奈川公演 エストレージャス/アルジェの男 | 百花繚乱

百花繚乱

駆け出し東宝組。宙から花のように降る雪多めに鑑賞。

 

 

全ツ版エストレージャスは夜! 星! 一瞬の永遠!というテーマがはっきりして、ぐっとアダルトに、夜のイメージが強くなった。

本公演のエストレージャスは、リラックスして見れる親しやみすさがあったが、全ツバージョンは 「なんだ、この傭兵部隊?!」 とおののく精鋭感。

人数が少なくなったことで、逆に舞台の濃密さが上がって見えた。

 

たくてぃー休演は大変残念でございましたが、若手や娘役が大活躍していたのも全ツらしくてとてもよかった。

男役は俊敏に凛々しく、娘役は可憐に華やかに、愛ちゃんら先輩方はびっと舞台を締め、礼真琴が最前線にぐいぐい立つ。

ヒロインのはるこさんはとにかく美しいし、宝塚の黄金率とでもいうべきバランスのとれたショーでした。

 

 

■プロローグ

礼真琴 GTR !

礼真琴 Z  !!

直噴エンジン搭載、パワフルな加速で林道も泥道もものともしないゴリゴリのオフロード感

排気量5万リットル、最大トルク4200rpm、もう、噴射して空とか飛べちゃうんじゃスペックの星組エース、満を持しての見参感

期待感というのは客を高揚させる麻薬だけど、それを更なるキラキラに変換して返す礼真琴、フォース

 

しかしまあ、みんな活き活きしている。踊りキレキレで、舞台が狭い。

 

 

■スターライト

ファンタジー感の強いSEKAINO OWARIを、とてつもなく地に足についた曲に変えた礼真琴のスターライトパレードを極美君・天飛君と、ほのかちゃん、水乃ゆりちゃんがキュートに歌う。

プロローグのオープニングの興奮をなだめつつ、ショーの水先案内人として期待をもたせるお役目。

とにかくフレッシュでいい!!  水乃ゆりちゃん姿態がとても美しい。 

 

 

■あの日出会えた奇跡

愛ちゃんとあんるちゃんのデュエット。

同期コンビがほほえましい。

このショーはほんとに色んな娘役さんにスポットがあたっていい。

 

 

■星夢 スタム

こっちゃんと瑠璃花夏ちゃんとのダンス、新鮮。

瑠璃花夏ちゃん、とてもきりっとしてシャープなお顔立ち&踊りをするのね。

 

藤井先生の神様降臨の大サビ曲を思わせるドラマチックな仕上がり。

たたみかけてくるアップテンポなロックで、機動隊のごとく踊りまくる組子。

かなえさんとか、とにかく全身で踊ってくるくる回ってるあのキレ!!

かなえさんはアルジェでも手の表現が細やかで素敵だった。

次期新生星組への期待や熱量を感じる、スピード感と統一感に溢れた名シーンでした。

 

 

■きっと君の夢になる

ジャズ調のかっこいい新曲で、紫藤君&まめちゃんのリフト。

強気な表情で挑むまめちゃんがかっこかわいい。

 

 

■BACK

礼真琴、踊り狂いながら歌いまくって、ブレ、一切なし。

これやってたのはモー娘の高橋愛ちゃんしか知らなんだ。

若手の子がちょっとふらついたかな?って思っても、びっと礼真琴が締めるこの磐石の最終兵器彼氏感

皆、シャープ感がまして、Androidのごとき美しさ。

足上がりまくってたのは碧海さりお君かな?

 

礼真琴の、あえて ”啼き” と書きたい 泣きの入った歌い方、ずるいです。

やりすぎずしっかりコントロールされてるけど、甘くて哀愁があり、センチメンタル。

演歌のこぶし、アイドルの吐息、みたいな琴線に触れてくるテクニックというか、礼真琴節とでもいうようなフックがとにかくすごい。

(だいもんなんかは、クセが少ない歌い方だと思うのですよ)

 

 

■アスタリスクメドレー洋楽メドレー

愛ちゃんのhotstuff、かっこいーー!! 

愛ちゃんの歌、すごい聴きやすくなってた気がする。(欲目?)

 

「ウォーウォーウォー」 のとこはもう、誰が歌ったって慟哭と音程の間にしかならないと思うんだけど、愛月ひかるのウルフ感は最高。

星組仕様の愛月ひかる、やや抑えてて、それでも伝わる圧の強さと粘りがすごく映えてた。

 

愛ちゃんが、この公演の戦力となって、いきいきとして舞台上にいる姿に涙が出そうになってしまった。

ジェンヌさん達が与えられた状況の中で全力を尽くして、さらに成長して前に進んでいく姿は無条件に感動する。(翔ちゃんの観柳とか)

そして、それを可能にする星組の受け入れ態勢って、つくづく素晴らしいと思う。

組がまとまって、いい土壌がある証拠だ。

 

娘役さん達のturn the beat round、大人っぽく、かっこよし。

星娘のダンスはダイナミックというか、生身の体で踊ってる感が好き。

 

紫藤君のサニー

しどうくんは歌もうまいし、立ち姿もしゅっとしてかっこいいんだが、ジャズはちょっと苦手なんだろうか。

濃いジャズじゃなくて、チェットベイカーとかホワイト系の軽やか洗練ジャズが似合う気がする。

 

 

こっちゃんの一人リベルタンゴ。

舞台いっぱいに埋めてた。

表情を作りこんで踊ってるわけじゃないのに、闘牛士の生と死のドラマが見えた気がした。

まこっつぁんは小柄とかお顔立ちのかわいらしさだとか、もろもろの不利な点を全部ぶっ飛ばして、「礼真琴」というブランドで有無を言わさず通用するようになるんだろうな、なんてことをぼんやり思いました。

 

からの、オレンジレンジのチャンピオーネで客席降り。

星組の客席降りはサービス精神がすごい。

明らかに客席降り慣れ度が違うw

 

舞台上の大将・礼真琴の方を見ながら、客席でこぶし振り上げる組子達の水を得た魚っぷり。

夜の背景&ネオン&男役さん達のセクシーな野郎感により、あれっ、シャンパンとか入れなくてもいいの?? 胃腸に自信あるあるよ?!!(※有名なシャンパンコール) って気になりました。

 

 

■ロケット

最近のロケットちよっと覇気がない?なんて思ったりすることもあるけど、この全ツのロケットはイキイキハツラツ、楽しかった!

 

 

■星鷺の夜

青木先生の曲が情感漂っていてとても美しい。愛ちゃん&ほのかちゃんのカップル、宝塚らしくて素敵。

「舞台の上か、スカイステージの中の人だと思っていたので・・・」 とふんわりかますほのかちゃんに  (それ以外ってどこだ。稽古場?廊下?すみれキッチン??)  「どうも、本物の愛月ひかるです」 ってデレデレしてる愛ちゃんも大変かわゆうございました。

 

星鷺で、最後ジャンプを決めるまこっちゃんが、今までのダンスと全く違う、ふわりと優しい跳躍で驚いた。

ありがたいことに比較的前方席で拝見してたのだが、他の方も言ってらした通り、着地音が全く聞こえない!!

 

え、鳥? 使徒? 

 

しかも、今までのキメキメの表情と全く違って、笑顔が爽やかであどけなくて、これはずるい。

「AKBとか桜坂とか知らないけど、たぶん全員抱いたぜ??」(イケボ)

とかいいだしそうなオレ様手練感の中にごく稀にちらっと覗く純真さ (正月パネルアタックで 「私がえだまめで好きなものはー」って言っちゃうとことかね) に砕け散った。

 

 

■フィナーレ

ありえない奇跡のしどりゅーと極美君の、哀感ただよう切実感、よかった。

からの、娘役ダンス、桜里まおちゃん、圧強いな!

 

情熱大陸・黒燕尾。

隅々まで神経が張り巡らされた黒燕尾でした。

ノーブルで美しかった。

全ツの階段はどうしたってこじんまり見えてしまうのだけど、階段が大きく見えたほど。

 

そして、こんなに揃うんだ?! とびっくりしてしまった。

手の振りとか、ビシィィィって音が聞こえそうだった。

皆の神経が、真ん中の礼真琴に集中しているのがよくわかる。

愛ちゃんの黒燕尾はさすがに見せ方に安定感がある。愛ちゃんの肩の返しとかすごく好き。

朝水先輩が、ちょっと下目に燕尾をもつのが涼やかでツボ。

 

 

デュエットダンスの情感、ため息が出た。はるこさんのシルキーな美しさ、眼福でした。

アルジェもそうだったけど、まこっちゃんのがっつりリアル感に対して、はるこさんの夢夢しさが中和して、うまい具合に宝塚感を作ってると思う。

しかし今回影ソロ、あんるちゃん達も、遥斗勇帆君も爆音だね??

びっくりしたけど、星組、大きい音似合うなーと思いました笑

 

エトワールでなつさんを持ってきたあたりに、人事的な云々よりも 「万に一つも、とりこぼしはしねえぞ・・・」っていう主催者側の並々ならぬ気合を感じたよね。

つくづく今回、宝塚初見客全員、ファンにしてやる的な、鉄壁の布陣。

 

 

各地のレポを見させていただくと、北につれてどんどん盛り上がって、お客さんが礼真琴の言うことを誰も聞いてくれない現象が面白すぎる。

客席に天寿光希登場とか、紫りらちゃん登場して紹介とか、いいなあ、あったかいなあ。

そしてひっとん、どうか、どうか、皆様にかわいがってもらってね。

まこっつぁんともども、のびのびと力が発揮できますように。

 

 

確かに、今度は大劇場行きたいと思わせるにふさわしい素晴らしい密度の公演でした。

 

関連記事