早霧さんの言葉が好きだった。
プライベートできついとき、早霧さんの言葉で背筋が伸びた。
ああはなれないかもしれないけれど、ああなりたいと思った。
れいこちゃんとの男役についての芸談の中で「稽古中出来ない自分にどうすればいいのかわからなくなるんだ、とれいこちゃんが言った時、
「私はそのもがく過程も楽しむ」 と言い切ったちぎさんに、はっとした。
「もがく過程で発見する楽しさを知ってしまっているんだよね、15年いると。
その先に絶対光が見えるんだ役がつかめるんだと思うと平気になる」
れいこちゃんが、朝どれだけ早く行ってもすでにちぎさんがお稽古されてて夜までずっとやっていて、どんどんボロボロになっていくのを試て衝撃を受けた、と言っていた。
もがいてきて、つかんできた人にしかいえない言葉だ。
できない自分、戦っている自分もさらけ出すことができるちぎさんという人の真摯さ、正直さに打たれる。だから、組子もついていくのだろう。
2016年を振り返った言葉、「 生みの苦しみがあるからこそ充実感につながると実感した1年でした」 という言葉の重みがすごい。
以下、ちざきんの圧倒的なポジティブさで感銘を受けたことば
・「克服すべき課題のある今を幸せだと、そう感じることができる自分を幸せだと思うことが出来ますように」
-新人公演直前に、友人から送られた言葉 (2007 グラフ12月)
・「失敗はよくやりますし、真っ白になることもたまにあります。そのときは、周りに頼って、後で謝ります 笑」 2009年グラフ
・仮面の男で鬘をすっとばし、ベージュのネット姿で舞台に立った後
「やっちやったー、もう怖いものはないぞー」 (2017/7歌劇 「早霧せいなに贈る言葉」 早花まこ)
・「落ち込むときは、今落ち込んでいるわと自覚症状があり、どこかでプラスに持っていく理由付けをしていて。まだがんばれると自分を励ましたり、具体的なことを考えてプラスに持っていく。」
組子からの質問に答えるコーナーかどこかで、失敗をしてしまったときはどうしますか、というような質問があって、自分をだまして無理やりなかったことにする、とか、とにかく強引に気持ちを塗り替えるというか切り替える、ということを言っていたように思う。(どうしても出展がでてこない)
・「自分を嫌いになったことは生まれてこの方一度もないんですけど、自分がわからなくて悩んだ時期はありました。そのときは色々なヒトに聞いて回って、自分探しの旅に出て 笑 結果的には、それが自分だから、ありのままの自分を認めようと思えるようになって自分を嫌いになることはありませんでした」
2011 GRAPH4月
・(最後の退団公演になりますが、と問われて)
「さびしい気持ちもあったり、OOだったり日によって違います。その感情の揺れも全部表現として舞台人として舞台の上に出したい」 (CSだったと思う。不正確)
・(トップスターになってよかったと思えますか?という質問に)
「もちろん、よかったです。プレッシャーは常にありましたが、仲間に恵まれ、自由に、自分らしく過ごさせてもらって。大好きな宝塚、大好きな男役に、心から没頭出来た時間でした」 (宝塚GRAPH 2017 7月)
"没頭"という言葉を、この時に使うんだと胸をつかれた。
いつもいつも言っているように、男役が好きで好きで、身とを削って、芸を極め続けた人の真実の言葉だと思った。
トップとして、組子や作品を語る時、常に全体像の中のバランス、流れをつかんで、解釈してみせるちぎさんの作り方が大好きだった。
外に対して、劇団の顔として作品を語るときの知性と節度が好きだった。
普段の挨拶はかみかみでも、そういう時、ちぎさんは絶対に間違えない。
品格があって、美しく聡明なスター、宝塚の顔そのものだった。
正直さ
真摯さ
陽性の自己暗示力
たゆまぬ努力
俳優として、女性の管理職の一つのあり方として、同世代の女性として。
心から尊敬していて、大好きでした。
その走り抜ける姿を見せてくれたことに感謝しかない。
「忘れないで」 なんてちぎさんは言ったけれど、どうか、私たち巷の名もないファンのことも、貴方に恋をしていた270万人の宝塚ファンのことを、何かの時に思い出してくれるといいなと思う。
どうかそれが、ちぎさんの行く道を照らす光となってくれますように。
これからどこにいても、何をしていても、ちぎさんらしく、朗らかに輝いていられますように。
心からの、ありがとうを。