宙組 エリザベート 東宝 感想  | 百花繚乱

百花繚乱

駆け出し東宝組。宙から花のように降る雪多めに鑑賞。

バウはないし、初日は出遅れるし、チケット戦線の苛烈さ等々、東宝組の愚痴を言い始めたらキリが無いのだが、ただひとついいと思うことは、芝居が円熟してくることだ。
結果、どんはまりしてしまった・・・。


後半のエリザベートでは、まあさまの円熟感がすごかった。
本当に美しく、この世のものとは思えない異界感が研ぎ澄まされていた。
書ききれなかった感想を以下、

・瀬音リサ 
エトワール、素晴らしかったです。ご祝儀でも政治色でもない、これぞエトワール!!
 私は勝手に花組のべーちゃんのように思っているのだが、ベテラン娘役さんの鏡というか、舞台の上でも、スカステなどでも本当にいつも可愛らしく、ヘアアレンジなどもとても凝ってらっしゃる。
で、上手い。
メラコリのカティアで、ほんっとにいい女で「誰??」って調べたら瀬音さんでした。
マグノリアとかで、一度じっくり歌を聞いてみたいです。

・彩花まりさん 
立ち姿が非常に美しくて、どこにいても眼がいく。エレガントで美しいリヒテンシュタインでした。アムネリスを経て明らかに輝きがましたような気がする。

・ずんちゃんルドルフ
ずんちゃんのルドルフは、全身で演技してるんだなあ。
舞台を見るとき、大勢口は視野の180度全てを駆使して全体を眺めることが多く、人数の少ない動きの少ないシーンになってから、オペラで表情を追う。

だけど、ずんちゃん(桜木みなと)のルドルフは、オペラがいらない
なぜなら、全身で表現してるから。オペラをあげなくても、わかる。
普通、顔だけ振り返るところ、ずんちゃんは、腕も指も腰も肩も、全て動いている。役として。
これが、芝居が上手いってことなんだ、と思った。

闇広では、前半は怯えながらトート閣下に押され気味だったのだが、銀橋真ん中でトートのkissから逃れた後半では、瞳孔が開いたようになり、自分の意志で破滅へ進んでいくように見えた。
とにかくかっこよかった。男をあげましたね、ずんちゃん。


・まあさまトート、ルドルフに対して優しくなる
  死んだ後、前はもっと冷たい表情をしていたように思うが、後半は憐憫と受容をしているようにも見えた。
まあ様の佇まいが大理石の彫刻のようで、言って見るなら、バチカンのミケランジェロのピエタのような神々しさで。拝むわ、もう。


・黒天使
翔くん : 圧倒的な迫力でした。夜の神社で狛犬にが動き出したらこんな恐怖感があるのかな、と。
実羚 淳:「紫の眼差し」と勝手によんでおりました。伏せた目つきがとても艶っぽくて、気品がある。ゴシックがとても似合う。
結乃 かなり: 黒天使にも性別あるんだなーって思った。やっぱり紅一点の女の黒天使に見えた。そして可愛い・・・。天使界でいうとラファエルポジションというか、悪魔界の癒やしというか・・
和希そら:そらは、トート閣下の忠実な分身だったな、と。
歌劇かなんかのoffショットで、まあさまトートを中心に、黒天使が周りを囲んでる写真があった。
まあさまは、トート閣下モードで、全く笑ってない。他の黒天使は、少し素が出て笑ってる。そらは、笑ってない。まあさまと同じ表情をしてた。

ミルクのシーン、市民たちを先導しながら、そらは口元でにやりと笑う。
ルドルフの葬式、そらはうっすら笑ってる。(日によって違った気がするけど)
トート閣下の心理を具現化したような、不気味で邪悪でこの上なく美しい黒天使でした。

潤奈 すばる: シャープですっきりした佇まいでついつい見てしまう。
希峰かなた:脚上がりすぎてズボン破いた、っていう開脚を一生懸命注目していたが、追いきれず。笑い泣きみたいな表情の黒天使で面白かった

・重臣ダンス
何気に大好きでした、あの及び腰と絶妙なヌケ感ダンスが。
あの重臣達見てると、「あーー、こんなにバカでアホでエロい家臣だったらそりゃハプスブルグ家滅ぶよなーー」って思いっきり納得できるもん。

・蒼羽りく×髭×白髪 = 役満  


・デュエダン
私は、今回のデュエダンが大好きだった!!
デュエダンでみりおんを抱きしめながら体を揺らす動きとかですね・・・・「ワインを温める揺らし方」なんですよ!!

古いワインを、揺らして、空気と混ぜて、ゆったりと香りを放つようにじらしつつ温める・・という!!!  
大切に、大切に、ほどいていく感じですね。
官能的で芳醇。
男臭い男役の仕草とは違う、まあさまならではの色気。
ダンスの途中で、リズムが変わるところもドラマティックだし、バイオリンの音色も哀愁的でよかった・・。


1000回と20週年を背負ったこの公演。とてつもないプレッシャーとスケジュールを背負いながら、本当によくぞここまで走りきりました。
本日千秋楽。