宗教2世問題でエホバの証人への批判に心痛めた方が、エホバの証人の良い点について記事を書いています。その方をAさんとします。
その方の記事では今のエホバの証人組織を動かしているのは事実上2世3世であり、その人たちの多くは幸福であるがゆえに、組織に対する批判に違和感を感じているようです。
実際巡回監督や組織内で活躍するご夫妻が非常に優しい方々であり、交わっていてもさわやかであるという主張なので、宗教2世全般が不幸であるというような批判のされ方に抵抗があるようですね。ご自身では「私は擁護しているわけではない」と言っていますが、果たしてそうでしょうか。
まず最初に断っておきますが、私もエホバの証人のコミュニティはそれほど捨てたものではないと思っていますし、2世信者の多くが、互いに気遣いあっていることは否定しません。むしろ肯定派です。
ただこの擁護派ブロガー、Aさんが見逃している点があります。例えばその優しくて温和な2世たちは体罰を受けたことはないのでしょうか。あるいは目撃したことはないのでしょうか。Aさん自身も80~90年代に大会に行ったときに体罰がそこここで行われていることを目撃したことはないのでしょうか。
問題は「今の現役宗教2世の優しさ」ではなく、組織が組織的に奨励した体罰教育を否定したことで、広報を通じて、大ウソをついたことなのです。激しい体罰に耐えて、立派な人になった人もいるかもしれませんが、理不尽な体罰で組織から離れた人たちの身体の痛み、心の痛みを理解しないのであれば、その言い分は意味をなさないのです。体罰が行なわれていたことは事実なのです。
またAさん自身はバプテスマを受けていないようですが、多くの子供たちはバプテスマを受けていないと体罰をされるし、また受けることで親を喜ばせようとし、そこまで親を愛していたのに、その切ない思いは排斥によって完全忌避され打ちのめされたのです。
認めなければならない現実は、バプテスマを受けた子供のほうが、バプテスマを受けていない子供よりも親に愛情を示しそれゆえに忌避にもあっているのです。Aさんはバプテスマを受けていないのでたとえ、聖書的な罪を犯しても親からは忌避に合うこともないのです。この差は実に大きいのです。
Aさんはそういう立ち位置でも親御さんに理解があったかもしれませんが、そうでない母親もいましたし、その中には巡回監督や長老たちがそうさせた場合もあり、それも組織内でのヒエラルキー社会がもたらしたものであるならば組織への批判はやむを得ないはずなのに、それを見ようとしません。
Aさんのブログ姿勢としては一切の反論は受け付けないというものですが、Aさんが宗教2世の悲劇がぴんと来ないというのはAさん自身が見ようとしないからです。これはベトナム戦争で米軍の所業を視ようとせず、アメリカは最高だと言っているようなものなのです。ナチス政権下で、ホロコーストが行なわれているということにうすうす気が付いていても、その現実を見ようとしない人と同じです。今ウクライナでロシア軍が行なっていることに目を向けようとしないプーチン支持者と同じなのです。ブチャの惨劇がウクライナのフェイクだとロシア政府が言えば、それを信じるのと同じです。
さらにAさんが優しくて温和だという宗教2世たちにもし統治体に対する批判を述べたとしたらどうなるんでしょうか。その温和さも優しさも豹変するはずです。これはAさん自身が自分で確かめることができるはずですが、確かめるのが怖いというのであれば、実はAさんは組織の闇にうすうす気が付いているということになるのです。