黄金の茶室~『利休にたずねよ』 | Once upon a time by Bonze

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黄金の茶室
 利休切腹の五年前
 天正十四年(1586)一月十六日
 京 内裏 小御所

内裏の小御所のなかに、黄金の茶室が組み上がったとき、利休は、低いうめき声をもらした。
・・・・・かくも美しいか。
黄金と、鮮烈な緋色のとりあわせが、これほどまでに官能的で美しいとは、不覚にも、おもっていなかった。

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儀式のとき以外、ふだんあまりつかわれることのない小御所は、紫宸殿と渡り廊下でつながっている。白木の柱と床、それに襖だけのがらんとした空間である。
その屋内に、黄金の茶室ができている。
おりしも、小御所の軒端から、朝の光がさしこんできた。
茶室の壁といわず鴨居といわず、あらゆるところで、金色の光が、まばゆくはじけ、まさにそこが宇宙の中心でもあるかのように、燦然と煌めいている。
まことに荘厳なながめであった。
・・・・・・・・・・・
緋色の紗をすかした光が、壁の黄金をねっとり赤く染めている。
赤い畳が黄金の天井に反射して、さらに赤みが濃く深まる。
台子にすえた風炉水指の丸みにも、緋色がまとわりついて、ひときわ麗しい。
妖艶、と呼ぶのさえ、下卑た気がする。
この黄金の茶の席は、憂き世とはまったくへだった不可思議な異世界である。
宇宙のまんなかにあるという須弥山のいただきの宮殿から、とっぷりと暮れた夕焼けをながめれば、こんな味わいか。
絢爛、荘重、雅醇、粋然・・・、どんなことばをあてはめても、この席の濃厚にしてしめやかな風韻をつたえることはできまい。
黄金と緋色の空間にすわり、利休は、じぶんの茶の湯をふりかえった。



・・・以上、直木賞を受賞した「利休にたずねよ」の“黄金の茶室”の抜粋。

豊臣秀吉が、権力誇示のためつくった??と言われ、わびさびの精神とはまったく異質なものだ。
小説の中では、利休のアイディアとなっているが、じつは利休が黄金の茶室をつくることに関わったかどうかはわからない、という。

この時代、茶道具には利休の見立てで莫大な値がついたそうだ。
美の絶対的な権力者“利休”・・・
彼の美への研ぎ澄まされた感性のバックグランドにあるもの・・
若い頃の女性への思い・・・
わびさびの精神って、ちょっと官能的なものなのでしょうか。

・・・枯れた中にも艶やかさ。


侘(わび、侘びとも)とは、動詞「わぶ」の名詞形で、その意味は、形容詞「わびしい」から容易に理解されるように「立派な状態に対する劣った状態」となる。転じては「粗末な様子」、あるいは「簡素な様子」を意味している。もっと端的にいえば「貧しい様子」「貧乏」ということになろうか。本来は良い概念ではなかったが、禅宗の影響などもあってこれが積極的に評価され、美意識の中にとりこまれていった。
寂(さび、寂びとも)は動詞「さぶ」の名詞形で、本来は時間の経過によって劣化した様子(経年変化)を意味している。転じて漢字の「寂」が当てられ、人がいなくなって静かな状態を表すようになった。同様に金属の表面に現れた「さび」には、漢字の「錆」が当てられている。英語ではpatina(緑青)の美が類似のものとして挙げられ、緑青などが醸し出す雰囲気についてもpatinaと表現される。

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    わびしい...さびしい...

       ・・・黄金の茶室でつぶやいた

      わびさびの使い方間違ってますやん😅


    ・・・・Once Upon a Time by MikkaBonzeにひひ