『お・も・て・な・し』 茶人 “ノ貫”(へちかん) | Once upon a time by Bonze

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【2013年12月2日、ニュース】
今年の世相を反映した言葉を選ぶ「2013ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)が2日発表され、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の「じぇじぇじぇ」、TBSドラマ「半沢直樹」の決めぜりふ「倍返し」、予備校講師の林修さんがCMで使った「今でしょ!」、20年東京五輪招致で滝川クリステルさんがプレゼンテーションした「お・も・て・な・し」の4語が大賞に選ばれた。

昔、昔・・・
“ノ貫”(へちかん)・・・というたいへん変わり者の茶人がいました。
豊臣秀吉が催した北野大茶会でのお話・・・

(本『利休にたずねよ』著・山本兼一 から)
北野大茶会
天正十五年(1587)十月一日
京都 北野天満宮社頭松原
・・・・
ただ茶を喫するだけのために人が集い、同じ美を賞する。その場に居合わせることのしあわせ。一座をつくることのこころよさ。
こんなおもしろい人と人との愉しみが、ほかにあるとは思えない。
そんな輪が、北野の松原に、千も二千もできている。まさに前代未聞の茶会である。
冬の日射しの松原を歩くと、ことのほか目をひいたのは、朱塗りの大きな傘だった。
差し渡し一間半(約2.7メートル)もある大きな傘を立て、まわりを葭の垣で囲っている男がいた。
のぞくと、利休の顔見知りで、山科で世捨て人同然に暮らすノ貫(へちかん)という侘び茶人だ。
持ち物と言えば、ただ釜ひとつで、それで粥も炊けば、茶も点てるかわった男である。
いつだったか、利休が招かれたとき、ノ貫が露地に落とし穴を掘っていたことがあった。利休はいたずらに気がついたが、わざと落ちてやった。穴は深く、しかもこねた泥がいれてあったので、ノ貫は、利休を風呂にいれた。

利休にたずねよ



へちかん??


名前も変わっている。“ノ”の字は、“人”の字の偏であり、未だ“人”におよばぬということらしい。
奇行だ。湯をつかわせるために、わざわざ落とし穴をつくって利休を穴に落とす。湯をつかわせることで、くつろいだ状態で茶をふるまおうとした。
ほかにも・・・茶屋で女装しておどろかせたり、床に花を飾る代わりに奥方を坐らせたり・・・
・・・へちかんの、、、『お・も・て・な・し』だ。

“ノ貫”は、京の商家の御曹司だったという。
それが、中年になってから山科に草庵を結び、隠居生活をはじめた。
徹底した侘び茶だ。道具にはまったくこだわらなかった。この時代、茶道具が高額な値段で売買されていたが。
北野茶会で彼を気に入った秀吉は、大坂城へ呼び茶道具をみせるなどして歓待し、仕えるよう誘ったが、これを断ったという。
“ノ貫”は、生涯、市井でひょうひょうと自由に暮らした。

一方、利休は、秀吉に切腹させられる。が、彼の美学は、今も生き続ける。

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どちらも、茶人の生き方として、本望であっただろう....
  ・・・・Once Upon a Time by MikkaBonzeシラー