「あんた、化粧せーへんやろ。これあげるわ」
母はそう言って、肌をカバーできる乳液を渡した。
母は水泳を習っている。プールでは化粧をいちいち落とさなければならない。それが面倒くさいらしい。
そこで、手渡された乳液の出番。ファンデーションを塗ったように見えるけど、実はただの乳液だ、という寸法。
とても便利そうだ。
便利そうだが、使わないだろうなぁと思った。
思ったけれども、母心、ここはありがたくもらっておこう。
アラフォーとなった私は、化粧をしない。すっぴんだ。
基本的に家に引きこもっているので、必要性がない。
近所のスーパーに行くぐらいならすっぴんでもいいと思っている。
で、その「すっぴんでもいい」という感覚はどんどん広がっていって、通院も「すっぴんでいいか」と思ってしまった。
病院は電車に乗らなければならないほどの、少し距離がある場所。電車に乗るのにすっぴんだ。
これでも、会社に勤めていたころはちゃんと化粧もしていた(最後のほうはすっぴんだったが)。
化粧が好きかどうかと言われれば、そんなに好きではない。第一化粧が下手だし。
化粧が下手というのは、数をこなしていないからだとは思う。
化粧が決定的に苦手になったのは、ものすごい「ニキビ肌」という理由もある。
三十路過ぎたら吹き出物と呼ぶとかなんとか。
もう三十も過ぎたらニキビがおさまってきて、ぱらぱらとできることがあって、それを吹き出物と呼ぶのかなぁと思ってた。
でも、私のニキビは三十になったところで、関係なく出来続けた。
転機になったのはいい皮膚科と出会えたからなのだが、それまでは、とにかく化粧をすればたちまち1日でニキビができるぐらいのニキビ肌だった。
ニキビと化粧のはざまで苦悩して、結局すっぴんを選んだ。
でも、夫と出かけるときなんかに化粧をしないのは、よくないかなぁとは思っていた。
「やっぱり出かけるときは化粧したほうがいいよね?」
との問いに、夫は、
「俺化粧嫌いやねん。すっぴんでええよ」
と。
夫にそう言ってもらえるとは思わなかった。
化粧をして少しおしゃれして、それで出かけるのがいいのかと思っていた。
でも、「すっぴんでいい」んだとか。少しうれしかった。
たった一言だけれど、無理しなくていいのかなって思えた一言だった。
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