卒業式の答辞 | メガネ先生のブログ

メガネ先生のブログ

個別指導塾の先生の長めのつぶやき 体験申込は下記へ
noukendai@shuugakuzemi.co.jp

 今日、桐朋高校の卒業式の答辞が素晴らしいという記事を読みました。78期生のようですね。非常に素晴らしい内容でした。少し構成に違和感があったのは、卒業生の名前を全て答辞の中に盛り込むという素敵なアイデアを実現するためだったようですね。それも言われなければ気づかないほど秀逸な内容でした。高校生であのようなレベルの文章を書ける生徒がどれほどいるでしょうか?「潤沢な学び」にわざわざ澤の字を使ったり、反語表現、有名な演説の引用や、ことわざ、四字熟語の巧みな使い方、全体として風ということをテーマに用いる構成、翔という文字が今の子供の名前に多いことも関係しているのかもしれませんが、比喩表現として「数千里の翼を伸ばして」と名前に使われやすい文字を盛り込んでいるあたり、とても上手です。個人的には「憎らしいほどの青い空」がお気に入りです。

 私の高校時代の同窓生にもものすごく文章の上手な平井君という生徒がいました。何かの感想文で、この子同級生とは思えないほどレベルの高い文章書くなと思った記憶があります。かなり変わっていて当時ロシア語やドイツ語で詩を書いたりしていたと記憶しています。当時ドストエフスキーのまさに灰色なロシア文学を好んで読んでいた高校時代の私には、そんなことが出来る高校生がいるのかと衝撃でしたが、今の時代、様々なメディアが世の天才たちを多く取り上げてくれるので、もっとすごい才能を目にする機会も増えました。ただ自身の力で書きたいものを書き、しかもそこに同期の名前を全員取り入れるなんて粋なことをするとは、大人顔負けの、加えて日本語の素晴らしさを凝縮したような素敵な答辞ですね。日々小学生が書くような作文を、小論文として添削しているとちょっと異世界なのかと思ってしまいます。

 この歳になって同窓会の話があちこちで沸き起こっていますが、白髪の混じった壮年期の友が一人二人と鬼籍に入る中、私たちの卒業式はどんなだったろうと思わされる内容でした。