今回のテーマについて初稿より食の好き嫌いをベースに綴って来ましたが、
私たちは幼少年期が育ち盛りの時期は当然のことながら食べ盛りであばこそ
一日の食への思い入れは後年それ相当に影響を与えて来たとも言えるでしょ
うか。
長じて大人となりそして社会人になっても、時にふと「お袋の味」と呟く
ことがあります。育ち上った我が子にそう言わしめるその背景には幼少年期
の食卓を囲む時間の尊さ、我が子の笑顔をもたらす食を用意する時間の大切
さを思わずにはいられません。そして食の好き嫌いが嵩じて物事の好き嫌い
を牽引する切っ掛けになっていたことも少なくないでしょう。
なぜなら「食べなさい！」「食べたくない！」と言う一見如何ってことは
無く思える食卓でのやり取りがその後の我が子へ後々影をおとしていること
も窺えるからです。
私達は成長に伴い徐々に食の嗜好が強くなり拡がって行きますが、幼少年
期の我が子へ投げかける言葉や態度、視線は既稿でも触れました食に対して
既に触れましたが、幼少期脳の働きが活発になる中で生じるに私たちの誰も
が舌の「味蕾」で反応する味への反応と同様に、子どもの感情の内で受留め
られていることを押さえて置こうではありませんか。
ここで昭和世代に生まれ育った著者が今ひとつ感じるのは、家庭の中にあ
って食の作り方と食卓の風景が多分に様変わりして来ていることです。
それは時代の変遷と捉えれば今更と言えなくもありませんが、私たちが口
にする食物は大半が動物や植物であり当然のことながら目にするのは生の形
色、臭いなどを私たちの五感が捉えています。
そして本来同じ地平を生息していたものを、今を生きる人間が口にするの
ですから「（生きていたあなたの命を有難く）頂きます！」と感謝の思いを
込め一言食膳を前に発します。
しかしながら、現代の食生活にあって外食はもとより家庭にあっても食の
支度は相当に多様化していて、原材料となる動植物類は冷凍加工されレトル
ト食材となりパッケージングされたものをキッチンに並べ、自然解凍に留ま
らず今では当たり前のように電子レンジを使用し僅かな時間で温め多くの家
庭では食卓に上っているでしょう。
焚き上がったご飯がパッケージされたものを電子レンジで即温めて食卓に
並べるのと違い、嘗ては食事の支度には先ずは炊飯に先立ちお米を手洗いし
味噌汁を用意するにも野菜を手洗いして刻み、煮立てば味見をし肉や魚、野
菜類にしても焼き加減、煮加減などそこには人の五感を絶えず働かせながら
出来上がった後は食卓に見映えを考えつつ並べると言うのが常態化していた
時代。
自ずとそこには、用意する側の温もりがそのまま席で待つ家族にもそれな
りに伝わっていたことでしょう。であればこそ、食卓を囲む際には自ずと味
加減や出来具合に始まり味好みにまで話題が弾みます。
しかし現代の食卓風景には今や多分にそうした話題は遠のき、加えて親子
共々スマホをいじりながらの食卓風景も少なからず垣間見えるようです。
そうした今日の食事作りの変化を踏まえつつも、それなりにいろいろ手間
暇掛けてせっかく作った温もり伝わる筈の食膳の用意そしてその後食卓を囲
むひと時こそが家族の最も和む時間と捉えますと、そこでの親子コミュニケー
ションの広がりから深まりは子育て期にあっては疎かに出来ない時間である
ことに変わりはないでしょう。
食卓を囲むひと時から我が子の食の好き嫌い、そして普段に窺える物事の
好き嫌いの背景すら掴めその対処法も見えて来ると思うのですが、子育て真
っ最中の皆さんのご家庭では如何でしょうか。
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