ちょうど去年の今頃「11速5800系105にない12-28Tを」という記事をブログにした。
たいしたブログじゃないのにそれなりにアクセス数が、しかも定期的にあるのでそれなりに興味がある人がいるんだなぁ、と思っていた。
そんな中 お友達から未使用品の新型アルテグラのCS-R8000を提供していただいたのでこれも記事にしておこうと思う。
今回の主役「CS-R8000-11-28T(右)」とスプロケ交換に必要な工具
2017年中旬にシマノのロード用11速コンポーネンツのミドルグレード「ULTEGRA(アルテグラ)」は6800系からR8000系に進化・モデルチェンジした。
現在僕のロゥドバイク「キャノンデール CAAD8(2015)」には豚に真珠も甚だしいけど11速6800系アルテグラシリーズが装着されている。
今回はそのアルテグラのリアスプロケットにちょいと細工をしましょう、ってお話し。
CS-R8000(11-28T)
スプロケット、とは後輪についている歯車(ギア)の塊のこと。
11枚の歯車がついていれば「リア11速(11段、11s)」と表現し、歯車の刃先の数の変化で速度や出力トルクを変化させ様々な地形に対応できる重要な部品。
写真の「CS-R8000」は新車状態で(ほぼ)標準的に装備されている「11-28T」という歯数構成。
11-28Tとは最小ギア(トップギア)の歯数が11T(T=teeth、歯)〜最大ギア(ローギア)28Tまでありますよ、って意味。
一概には言えないけど28Tより大きめのローギア装備車は登坂(ヒルクライム)向け、25Tよりも小さめの場合は高速巡航向けと思っていいと思う。
最大最小歯数の差が大きいメリットは高速から低速まで満遍なく活用できる点、デメリットは各ギア比に差があるので変速時のケイデンス(クランクの回転数)に差ができてしまうことで脚への負担がかかること。
ローギア最大歯数は28T
CS-R8000-11-28Tのギア構成は11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28。
下線付きは分解不能なブロック構成、他は1枚1枚バラ構成。
シマノ11速の11-28Tは(多分)みなこの数値だと思う。
ロー(最大)ギアからミドル(中間)までは2Tないし3T飛び。
ミドルからトップ(最小)ギアまでは1T刻みのクロスレシオ。
最初のうちはこの11-28Tで不都合な点はないけど、ある程度慣れてくると「このギアとこのギアの間に1枚欲しい」とか「もっと大きな(軽い)ギアが欲しい」と欲望が湧き出てくる…はず。
【追記】
クロスレシオ、と表記しているけど厳密には「クローズ(クロウス)」レシオ。
クロスと単にカタカナで表記すると「交差する」ギア比と捉えてしまうがそんなことはあり得ない。
◯ close=閉じる、閉鎖、近接したなど
× cross=十字架、十文字、交差した
とはいってもこの手の「近接したギア比」のことは昔からクロスレシオと言っているわけで…
ここ最近出番が多いのはCS-6800-12-25T
やっかいな収集癖がある僕はスプロケットをいつのまにかたくさん集めてしまい、使わない(出番の少ない)ものも増えてきた。
ここ最近は12-25Tという構成のものを使うことが多いわけだけど、お道具箱をみると5800系105と6800系アルテグラ両方持っていることに気づいた。
無駄に同じスペックを持つ必要はないので少し前にCS-5800の12-25Tと11-28T共にネット放流した。
ちなみに12-25Tスプロケットはワンランク下の105が3,100円、アルテグラは2,010円で購入(中古、それぞれ送料含む)という不思議。
スプロケ外すのに必要な工具
上がロックリングを回すやつ、下がスプロケが空転しないように掴むやつ。
使い方は簡単なのでYouTubeとかで探してください。
新型アルテグラR-Typeのロックリング
モデルチェンジすると色合いやロゴデザインが大きく変わるけどアルテグラのこの部品(ロックリング)に関しては目立つ変化はなくて安心した。
とはいえたくさんのスプロケが揃うと必然的にロックリングも増えるので綺麗なもの(未使用品)は手をつけずにとっておこう。
R8000(左)と6800(右)
スプロケクリーニングしてないので右側の6800系の方が汚くてチープに見えるけどスプロケギア板の素材や表面仕上げは同じクロムニッケルの梨地(ザラザラ)仕上げ。
スパイダーアームも穴ぼこの形状がちょっと違う程度(最大ローギアで同じグレードでもデザインは違う)。
当然だけどシマノ11速用フリーボディ対応。
使用するのは赤いところ
使用するのは左側R8000のミドルブロック(19-21T)、ローブロック(23-25-28T)、
右側6800の12〜17Tまでのギアとスペーサー。
多段化が進んでローギアがブロック構成になるとバラで組み合わせることが不可能になった(他社製品ではバラ構成もある)。
グレードが違う(D/Aとアルテグラ、105)とブロックの枚数構成も違うようなのでミックスはできない(と思う)。
ミドルからトップギアはバラで構成されているけど最小とその次のギア板はフリーボディ側の噛み合わせ形状が違うので、例えば12-25Tの14Tを最小トップギアに…なんてことはできない(無茶は禁物)。
以前作成したギア構成表
11-28Tのギア構成は
11-12-13-14-15 - 17 - [19-21] - [23-25-28]
12-25Tのギア構成は
12-13-14-15-16-17- [18-19] - [21-23-25]
カッコでくくってある部分は分解不可。
表に則ってミックスさせると
12-13-14-15-16-17 - [19-21] - [23-25-28]
青文字の11Tがなくなる代わりにミドルに赤文字の16Tが追加される。
最高速は落ちるけど中間域でケイデンス維持がしやすくなるイメージ?
キモとなるのはミドルの17T
2種の混合の境となる17Tはどちらにもある歯数。
今回は12-25Tの17Tを使用したが、どちらも同じものとは限らない。
フリーボディの小さい爪に合わせてみた
同じ17Tをよく観察すると R8000には17B、6800には17Cの刻印がある。
フリーボディの爪に合わせて重ねてみると半コマ分 山の位置がずれていて プロファイル(刃先の形状)が違うことがわかる。
もし、サードパーティ製の11速スプロケットを手に取る機会があったらじっくり観察してみてください。
多分刃先の形状はどのギアもどの場所もほとんど同じ形状のはず。
シマノのスプロケットは刃先の形状が1つ1つ微妙に違うことがわかると思う。
この形状の違いこそが変速性能の証であり、メーカー側がミックス(混合品)を推奨しない理由でもある(と思う)。歯数構成スペックに合わせた最適なプロファイル、ってとこかな。
クリーニングしなかったせいでくっきり色の違いが出た
とまぁ相変わらず無駄なウンチクがつづいたけど装着・交換はあっという間。
すぐできます。
歯とスペーサーの順番、向きを間違えないように重ねていったら最後にロックリングをキュッ。
トルク指定があるので最初のうちはちゃんと従いましょう。
使い勝手は上々
気になる変速性能の差は今回チェーンもプーリーも交換してしまったので純粋に比較とはならないけど、17Tを跨ぐ区間でのもたつきや変速ミスはほとんど感じられなかった。
「ほとんど」というのは 厳しく言えば「ほんの少しのタイムラグがある」ということで、これこそが先に記したスペックによる17Cと17Bのプロファイルの違いなのかもしれない。
タイムラグにしたら半コマ分の0.5秒以下、ピッと変わるかチッと変わるか程度の微小なもの(どんなんだよ)。
テストを兼ねて宇都宮まで「いつもと同じように」往復してきたけど 歯飛びや過大な変速ショックなど不具合はないですよ。
16Tの恩恵をとるか、変速時のほんの少しの差をとるか。
金銭的に余裕があればD/Aの12-28Tで最高の安心感と性能を、チャレンジ精神があるならばこの手段(または5800)を。
その辺は「自己責任」のうえで判断してください。
2017/10/18 記