前回、中高年の発達心理学についてお話しました。今回はぐっと若返り、赤ちゃんの発達心理学について、お話しようと思います。
メラニー・クラインという児童精神分析家が見立てた、赤ちゃんの発達についてです。
児童精神分析では「生まれたての赤ちゃんはお母さんのお腹から出てきてもしばらくは、母子一体感の錯覚の中に居る」という考え方をすると、「魔の2歳児⁉️の心の世界」で紹介しました。クラインも同じで、スタートはそこからです。
しかし現実は、お腹が空いてオギャーと泣けば、すぐにミルクが貰える時と、なかなか貰えない時がある。一心同体、以心伝心とはいきません。すると赤ちゃんは、反応の良いオッパイと反応の悪いオッパイという具合に、相反する2つのオッパイが存在していると考え、この2つのオッパイとの格闘が始まると考えました。しかしやがて、この2つのオッパイの出処は同じである事に気付き、良いオッパイとのお別れを経て、現実的なオッパイを受容していくと考えたのです。
生まれたての赤ちゃんに「これは本当なん❓」と尋ねても、答えてはくれませんので、真意の程は確認出来ませんけどね![]()
だけど、統合された現実的なオッパイは、直ぐに反応が無くても、いつかは反応してくれる。
この時に獲得された信頼感が、「自己肯定感」を育て、「時間の力を信じて待てる子」へと成長させる。そんなふうに考えられています。
乳幼児の母子関係の重要さがことさら強調されるのは、こうした理論が背景にあるからなのです。
確かにこの時期に築かれる信頼感は、大変重要だと、私も思います。
ですが、その頃の経験が後の心の不調全てを説明出来るとは、思いません。
過去の事よりも、今の困り事。その問題解決に向けた伴走者でありたい。
私はそう、思うのです。
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