船頭の渡海屋銀平の正体は平知盛(たいらのとももり)です。
教経さんとは従兄弟の関係です。
平清盛の四番目の息子で、平家方の作戦指揮は知盛がとっていました。
平家の総大将であり、兄である宗盛(むねもり)は知盛の作戦を追認していました。
源平の激戦のひとつ、一の谷の戦いで嫡子の知章を失います。
源氏との激しい交戦で、知章が知盛の楯になり、
知盛は危地を脱出したものの、息子を楯にした無念はいかばかりなのか。
知盛は悲しみを堪えて安徳天皇を守護し、壇ノ浦の合戦に挑むものの、平家の命運は尽き、
平家一門の滅亡を目の当たりにします。
安徳天皇の入水を見届けた後、「今は見るべきことは見はてつ(この世で見届けるべきものは見届けた)」 と言い残し、
自らも海中に沈んでいったようです。
知盛が海に飛び込んだとき、碇(いかり)を体に巻いたとも、甲冑(かっちゅう)を重ね着したとも言われています。
このエピソードが「碇知盛」のモチーフなのでしょう。
さて、実は平知盛が生きていた!という設定で
『星合世十三團』は始まります。
物語のプロローグでは、絶命したはずの教経・知盛・維盛が團十郎さんの華麗な早替わりで次々と現れます。
…日本人て非業の最期を遂げた歴史上の人物の生存説が大好きですよね。
平家の落人(おちゅうど)伝説は全国各地にあります。
栃木県の湯西川温泉に行ったら、泊まったお宿の女将さんが落ち延びた平家の血筋の方でした。
落人だから、山深いところへ逃げたようです。