その後、コンコンと説教をされ、床屋に行ってスポーツ刈りか丸刈りにしてくる事、今後は学生服(学ラン)を着てくる事が言い渡されました。正に青天の霹靂で騙されたと思いました。
私の高校はブレザーでしたので、先輩のお下がりの短ランをいただき着ることになりました。同級生は後に内側が玉虫の長ランを買った者もいました。
翌日から稽古は一変しました。はじめに超低い姿勢の組手の構えで巻き藁突きを全力で延々と繰り返します。もちろん始めは拳の皮がめくれ血も出ます。
その後グランドを何周もラン二ング、時にわざわざ学生が行き交うキャンパス内でダッシュ、時に山を下って上るラン二ングをしてからはじめて道場内での稽古。
補強は拳立て伏せ、腹筋運動などを各50回を2セットは当たり前。その場での基本稽古は騎馬立ち、または四股立ちでの正拳突きと組手の構えからの前蹴りくらいですが、その後が本番です。
30メートル程の道場の端から端まで延々と続く移動稽古。内容は前屈立ちでの正拳中段突き、上段突き、中段逆突き、上段逆突き、中段外受け逆突き、中段内受け逆突き、四股立ちでの手刀受け、上下段払い(手刀上段受けと下段払いを同時に行う、型・セイエンチンの動作)、組手の構えでの中段前蹴り、中段回し蹴りです。
兎に角低い姿勢を求められ、前屈立ちの前足の膝が鋭角になるくらい膝裏に蹴りが入り、後ろ足は伸ばすよう膝関節裏に足で乗られ、姿勢が高くなると足払いで転がされ、四股立ちの手刀受けでは足の付け根に両足で乗られ、上下段払いでは毎回みぞおちに先輩から有難い前蹴りをいただき、効かされて倒れ込むことも珍しくありませんでした。
試合が近くなると組手の構えからの移動稽古が行われ、刻み突き(構えた前拳での上段突き)、中段逆突き、上段逆突き、刻み突きから中段逆突きや上段逆突きでのワンツー、中段前蹴り、中段回し蹴りとそれらのコンビネーションがメインに行われました。
低い姿勢の摺り足で素早く飛び込むことが要求されるので、足の裏の上足底、特に親指の下の皮が擦れてめくれて豆ができ、テーピングは欠かせませんでした。(つづく)