イチロー「その通りだよ。アタマでっかちになって、一歩も踏み出せない、もしくは踏み出した気になっている、だけの人がほとんどじゃないかと、思う。オレは常にあーでもない、こーでもないを繰り返してきた。その数は誰よりも多いはずだ。」
大谷「そうだと思います。だからあれだけの大きなことを成すことができたわけですから」
イチロー「勘違いしないでほしいんだけど、オレは色々な記録を塗り替えてきた。しかし、それを目標に、努力を積み重ねてきたわけじゃない。実際、コミットしているのは全打席ヒットを打つということ。そして全打席、誰よりも考え、そして、大切に、打席にあがっていたということだ。この意味がわかるかい?」
大谷「ステージが高すぎて、少し難しいですが、感覚としては、分かります」
イチロー「ヒットを量産したら記録が塗り替わるとか、何年振りに誰々の記録を抜いて、とかは、ありがたい名誉あることだけど、あくまでもそれは結果である。オレが本当にコミットしたことではない。つまり、周囲が評価した相対的な結果のことであって、主観的には目指しているところが、それではない、ということだ」
大谷「数字や率を意識していない、ということですか?」
イチロー「その通りだ。数字や率は後からついてくるものなんだ。そればかりにフォーカスしてしまうと必ず人間はおかしな行動をとる。違う言い方をすればブレる」
大谷「僕も二刀流を始めた時は数字(結果)を出さなきゃいけないと、意識していた時期がありました。その時は本来の自分と違う行動をしていたような気がします」
イチロー「それが、ブレる。ということだね。その事を経験できただけでも大きなチカラになる筈だ」
→対談4に続く