授業終わり、私は校門前にいた。
私、なんで優希にドキッとしたのよ。
……見たことない目だった。
あんな表情するんだな。
顔が火照った。
いつもなら何か食べて待つのに、今日の私にはそんな選択肢浮かびもしなかった。
手で顔を覆う。
今朝の出来事も、何もかもが遠い日のことのように思える。
「早く行ってこいよ。
ずっと待っててくれてんじゃん。
てか、早く行かないとシビレ切らして帰っちゃうよ?」
わかってる。
でも、今行ったら………
「奏ちゃん!」
ちょっ、おい 慎二!
「いいから。行ってこい。」
とん、と背中を押される。
あぁ、やっぱり俺って情けねぇ。
振り向いた奏が真っ直ぐに俺を見る。
少し赤くなった顔。
不安そうな瞳。
ヤバイ。どうしよう。
少し上目遣いでこちらを見てくる。
「行こ。時間、なくなっちゃう。」
ハッとしたように気まずそうに目をそらす。
「あぁ。」
ダルそうに声をあげて髪をかいた。
「そうだな。行くか。」
そうやって手を差し出した時には
いつもと同じ優希に戻ってた。
いや、まだ顔は赤かったけど。
「どこ行きたいの?」
そんなこと、考えてなかった。
「はぁ⁉︎」
驚いた目と私の目が合う。
場所は何処でもいいかなって思ったのよ。
「行きたいとこがあったんじゃないの?」
行きたい場所はね、最後に行くから。
勝手に入れないし。
「どういうこと?」
歩みを止めて、こちらを伺う。
なんかいちいちドキッとさせる奴だ。
今更だけどモテるのもわかる気がする。
「久しぶりに、
優希の部屋……行きたいな。」
目があった時、顔が真っ赤だった。
すぐに目をそらされた。
片手で顔を覆い、ため息をつく。
「誘ってんの?」
……え?
かぁぁっと自分の顔も赤くなったのがわかった。
「俺、前に言ったよね?
例え奏でも、もう簡単に部屋に連れてかないって。」
いつも喧嘩して仲直りする場所は優希の部屋だった。
優しいけど中々折れない優希。
最終的には私が謝りにいったからだ。
だから今回もそこに行けば元に戻れる気がしたのだ。
でも……無理なんだ。
もう、ただの幼馴染ではいさせてくれないんだね。
優希に手を握り返されて、初めて自分が強く手を握っていたことに気がついた。
「も……早く俺に落ちちゃえよ。」
見上げると、今まで見たことがない切なそうな顔。
どうにかしないと壊れてしまいそう。だからといって触れるのも怖い。
………ただ一人の男の顔。
壊れそうなのに、怖いのに、気づいたら彼の頬に触れていた。
私を見たその瞳には影があり、睫毛は雫が少しついていて色っぽかった。
心臓がバクバクいって破裂しそう。