そうは思ってるけど言えなくて
近づいてくる別れの日を恨んだ。
一ヶ月ほど前の話。
母から手紙が来た。
母は今、海外で働き回っているそうだ。
久しぶりに来た手紙には
”こっちで一緒に暮らしませんか?”
と書かれてあった。
私は母に憧れ、カメラマンになることが夢だった。
こっちに来てカメラの勉強をしないか、と。
有難い話だった。
夢の第一歩を踏み出せるのだ。
……ただ、優希のことが心残りだった。
でもあいつは私に興味ないだろうし、
私がいなくても女にもてはやされてる。
かわりなんていくらでもいる。
そんな風にちょっとやさぐれてた時期でもあった。
だから彼には相談せずに行くことを決めてしまった。
きっと行ってしまったらしばらくは帰ってこないだろう。
3~4年はあちらにいたままになる。
慣れるまでは正月でも日本に帰る気はない。
出発は11月半ば。
あと2週間くらい。
私と彼との関係のタイムリミット。
一週間たったある日の朝。木曜日。
私はやっと伝える決心がついて土曜日に優希と遊ぶ約束をした。
土曜日に伝える、そう決めた。
私が出発するのは来週の火曜日。
隣にはただ無邪気に土曜日を楽しみにしてくれている彼がいて。
言ったらどんな反応するのか不安で、今まで言えなかったことが申し訳ない。
金曜日は眠たい授業ばかりなのに緊張と不安とで全然 眠くならなかった。
明日は遊園地に行くことになっている。
観覧車に乗りたいんだって。
少し可愛いと思ってしまう。
緊張と不安を抱えて迎えた、土曜日。
