私は暗闇が怖くなった。寝る時も少し明るさを残して寝る。部活も早く帰ることが多くなった。優くんは一緒にかえってくれるよくになった。
「優くん、
部活してていいんだよ?」
「やだよ。気にすんなよ。」
「……するよ。」
少し先に歩いていた優くんがクルっと振り返った。
「優希って呼べよ。それから
俺が一緒に帰りたいから帰る
の。だから奏は気にすんな。」
優しく頭を撫でてくれる。ありがとうと言うと優希は優しく微笑んだ。
「髪、切らない?」
えっ?私、あの夜のこと話してないよね?
「俺がショートカット好きなんだ。
ショートカットの奏が見たい。」
「優希の好みじゃん、それ。」
「そうだよ。悪い?」
そうやってイタズラに優しく笑う顔が実は好きだったりする。ドキッとする。そりゃ、こんな顔してたらモテるよね。
「うん、切ろうかな。」
きっとあの夜のことを知らなくても優希には伝わったんだろう。自分からは言い出せないことも。
「優希はさ、なんで彼女つくん
ないの?」
「大切にしたい人がいるから。」
菫姉ちゃんのことかな?話してる時、だいたいいつも顔赤いし。
「じゃあ誰ともつきあわないの?」
「そうだな…。その人が俺に
気づいてくれたら告ろうかな。」
そんな顔もするんだね。さみしそうな顔しないでよ。
「奏は?」
私は……。
「部活があるから今はいいや。」
「そっか。じゃあ、しょうがない
から彼氏が出来るまで一緒にいて
やるよ。」
彼氏………ね。多分、もう一生つくれないよ。
私はその後、ほぼ無理矢理 優希に美容院に連れてかれて髪を切った。ばっさりとショートカットに。私のことはお構いなしに優希が美容師さんに自分の好みを言い、そのままカットが始まってしまったのだ。結果的に私に良く合う髪型になったから文句は言わない。
私はあの髪の毛と一緒にあの日の記憶を置いてきたつもりだ。暗闇は怖いけれどクラスの男子が怖くはなくなった。
……ありがとう、優希。