優希がチャリを凄く速くこいでくれたからバイト先に着いたのは始まる30分くらい前だった。
「速くこがなくてもよかったじゃん。
バイト前にバテさせやがって。」
「悪かったですね。」
バイト先は知り合いが営む本屋さんでエプロンを着ればいいだけなのだ。制服なんてない。10分もあれば十分なのだ。
「ちょっと隣のコンビ二行って
くるわ。」
通り過ぎる時、ポンっと頭に手を置いて優希は部屋を出て行った。きっとすぐ戻ってくるから安心しろ、とか思ってんのかな。でも室内は明るいから大丈夫なんだけど…。心配性の優希らしいや。
「あれ、優希はどこ行った?」
「おじいちゃん!コンビニ行ったよ。」
「そうか。これやるわ。二人でお食べ。」
「わぁ。この饅頭好きなんだよね。
でもいいの?もらっちゃって。」
「わしにはちと甘すぎる。
遠慮なしにもろてくれ。」
「ありがとう。じゃあ、いただきます。」
おじいちゃんの名前は太田敏弘。私も優希も血のつながりはないけれど小さい頃から本当の孫のように可愛がってくれている。だから私たちも本当のおじいちゃんのよいに思っている。
「たっだいま~。ってうわぁ、
これめっちゃ美味しいやつやん。
流石じいちゃんやな。」
優希は可愛い系だと思う。いや、学校ではカッコつけてるから皆にはクールでかっこいいと思われてるみたいだけど。今とかも凄く可愛い顔して食べてる。
「なんだよ。人のことガン見して。」
「いや、可愛い顔して食べるな~って思って。」
「男に可愛いとか言うなって。」
目をそらしてむくれた顔になる。他の人から見れば怒ってると思うかもしれない。でもこれは優希が照れてる証拠なのだ。