【くちゃーに】


都内某所にある小学校6年3組の昼休みー


『やったれ!!』

ドゴッ!!

「やめて…痛い…くちゃーに…言うからね…」

『アハハハ!何が"くちゃーに" だ!』

勉強も運動も全く出来ない気弱な生徒が同級生達により毎日酷いいじめを受けていた。

彼の名前はまるで性格を表すかのよう内木といった。

内木はいじめられてる時に何かを訴えるように「くちゃーに」と謎の言葉を発していた。

しかしそれが更にいじめを誘発する事となっていた。



そしてそれを遠くから重々しく見る姿があった。

彼の名前は戸川。

実は戸川も元々はいじめられていた存在だったが高学年になるにつれて体格が良くなり、その対象から外された。


『内木君…大丈夫?』

戸川は内木にハンカチを差し出した。

「うん…ありがとう…大丈夫だよ…くちゃーにが何とかしてくれるから…」

『前から思ってたんだけどさ… "くちゃーに"って何?』

「くちゃーに…僕の御守り言葉なんだ…フフフ…」

この時の内木の目…いや人の目に恐ろしくゾッとしたのは後にも先にも、この時が最初で最後だと戸川は感じた。

そして戸川は分かっていなかった。

いじめをする者、それを止めない者も同罪だという事を。



数日後ー

『戸川。ちょっと来いよ』

戸川は内木のいじめの主犯ともされる同級生の鴨田から呼び出された。

『もう内木の味方はお前だけだ。次のターゲットになりたくないだろ?だから内木を助けようと思わない方が良いぞ』

そう…もはやクラス全員にまでも内木へのいじめが"感染"していたのであった。

以前いじめられていた戸川は、それがどんなに恐ろしいかを分かっていたため黙って従うしかなかった。

しかし…この事が後に恐ろしい事となる。

この日、朝から抜き打ちの持ち物検査がある事を事前に知っていた鴨田は皆に内木の持ち物を隠すよう促した。


『授業を始める前に持ち物検査をする。皆、机の上に持ち物の全てを出すように』

担任教師の川島が言った。

皆が従う中、内木だけが青ざめた顔で必死に持ち物を探す姿を鴨田はニヤニヤと笑いながら見ていた。

『ん?内木…お前の勉強道具はどうした?』

「か…鴨田君達から…隠されました…」

まるで蚊の鳴くような声で内木が川島に訴えた。

『鴨田!そうなのか!?』

しかし鴨田は川島をも欺く演技力で、

『酷いよ内木君。僕そんな事してません』

と言い通した。



「戸川君が!戸川君が知っています…!前も鴨田君から殴られた時にも戸川君が…」

もはや残された最後の手段は戸川を頼るだけだった。

『戸川!どうなんだ!?しかも鴨田は内木を殴ったのか!?』

しかし…


















『知りません…』

戸川はクラス全員を敵にする勇気は無かった。

「そ…そんな…」

内木の全身から力が抜けた時…

『内木!お前は自分が悪いくせに人のせいにするとは何て卑怯な奴なんだ!』

バシィン!!!

怒った川島の平手打ちが追い討ちをかけるように内木の顔に叩き込まれた。

『罰として今日はグランド内の掃除を1人でやれ!』

「う…う…そんな…」


内木は絶望だった。




放課後…

内木はグランドに"くちゃーに" の文字を大きく残して校舎裏の雑木林で首を吊って自殺した。

鴨田率いる全員が口裏を合わせていた事と、遺書も無かった事から学校側の調査でもいじめを確認する事が出来ず、内木は精神的不安定による自殺と処理された。


それから戸川は自分を責めつつ内木の事を忘れようと毎日を過ごしていた。

◆映画解説108◆

ままごと遊びではない。

戦争とは何かー

生きるとは何かー

全てを失った幼い兄と妹は七輪、布団、蚊帳、ドロップ…そして蛍の輝きだけが頼りだった。



『火垂るの墓』


オススメ度:★★★★★

平均評価点:98.7

1988年日本スタジオジブリ製作。

【監督・脚本】
高畑勲

【原作】
野坂昭如

【声主演】
辰巳努

白石綾乃

志乃原良子


◆物語◆

太平洋戦争末期ー

兵庫県武庫郡御影町に住む清太(14歳)と妹の節子(4歳)は大空襲で全てを失い、西宮市にある親戚の叔母の家に身を寄せる事になる。

順調に思えた共同生活だったが清太の母親が亡くなった事をきっかけに叔母は次第に清太達を邪魔者扱いにしていく。

清太は妹を連れて叔母の家を出て貯水地ほとりにある防空壕で暮らす事にしたのだが、幼い彼らには想像を絶する過酷な生活が待ち受けていた…


◆解説◆

原作、野坂昭如の実体験を忠実に再現した作品。

物語展開は現在進行形ではなく、清太達が亡くなり幽霊と化した後に過去を振り返るものとされており、作中で画面が赤くなるのはそのためである。

しかしアニメ絵本では、これらの赤くなる描写は大幅にカットされており、ラストで現在のビル街を幽霊となった清太達が丘から見つめるシーンのみとなっている。

監督の高畑勲は本作品に対して「主人公の少年は、まるで現代の少年がタイムスリップしてあの不幸な時代にまぎれこんでしまったような気がする」と語っている。


清太の声を担当した辰巳努は当時16歳、節子役の白石綾乃は5歳と作中の年齢設定とほぼ同じで、しかも共に関西出身だったため感情移入がしやすく、不自然さを感じさせない見事な演技をこなした。

プロのアニメ声優を起用せず幼い子供達2人をあえて配役した事は、この当時全く前代未聞であったため、多くの人々が驚き感動した。

しかし現在、辰巳努、白石綾乃の動向は全く不明で、2012年に火垂るの墓の関連イベントを行った際、主催者側は2人に出演依頼をするため必死で連絡先を探したが見つける事が出来ず、生放送で『見ていたら是非会場に来て下さい』と呼び掛けたが、結局2人が現れる事はなかった。



《執行当日》

午前9時~11時に刑務官達4~5人が執行確定の死刑囚の独房の前に並ぶと『牧師(住職)さんが待っているから』などと告げる。

他の死刑囚達に配慮して『死刑』や『執行』などの言葉は使わないようになっている。

この時『お世話になりました』と素直に受け入れる死刑囚も居れば、失神したり、泣き叫びながら命乞いをして激しく暴れ出して抵抗する者も多い。

このような場合に備えて執行当日は【特別警備隊】と言われる屈強な刑務官達が独房の周囲や廊下に3~5m間隔に配備されている。

死刑囚は荷物を整理する時間も全く与えられないまま独房から連れ出される。

向かう先は【前室】と呼ばれる広さ8畳程の場所(写真1)

中では神父や僧侶などの教誨師と十数名の刑務官が居る。

ここで拘置所の所長により、正式に死刑執行を本人に伝えた後、教誨師にて最期の祈りの儀式が行われる。

↑※死刑囚が望んだ宗教の祈りをされるが、ここでは無宗教も選択出来る。

更に【遺書】を書く時間が設けられるが殆どの死刑囚の場合、事前に用意しているので、ここで書く事は稀である。

また死刑囚が好む甘い食べ物やタバコが差し出されるが、口にする者は極めて少ないという。


《死刑執行》

死刑囚は目隠しをされた後、後ろ手に手錠をされる。

そしてそれまで閉ざされていた隣のカーテンが開く。

広さ14畳程で真ん中には赤いテープで区切られた約1m四方の【踏み板】がある【処刑室】である(写真2)

↑※別名【死刑執行室】とも言う。

踏み板の真上の天井に取り付けられた滑車からは直径約3cmの先が輪になった純白のロープが下げられている。

※近年実際の拘置所の刑場が一般公開されたがロープ部分は非公開となった(写真2)

刑務官達はその踏み板の中央まで死刑囚を誘導した後、両足を縛り、首にロープを掛ける。

踏み板は油圧装置で瞬時に真下に開く仕組みになっており、首にロープを掛けた死刑囚は地下に落下するようになっている。

これらの流れは役割分担された刑務官達が手順ごとにスムーズに行われる。

その理由は、死刑囚が成仏出来るため恐怖を感じる時間を少なくしてあげるという配慮からである。

そして執行室から見えない位置にある別室が【執行ボタン室】(写真3左)

3つのボタンのうち踏み板を開く装置に繋がっているボタンは【1つのみ】で残りのボタンは全て【ダミー】である。

どれがダミーボタンかは全く知らされていない。

↑※コンピューター制御で毎回ダミーボタンが変わるとも言われているが定かではない。拘置所によってはボタンが5つの所もあると言われている。

3人の刑務官が1つずつを同時に押す事で誰が執行したのか分からなくなっている。

それは執行に直接携わった刑務官達の精神的負担を多少なりとも軽減するためである。


死刑囚を独房から連れ出して、ここまでの一連の流れで僅か30分から1時間弱足らず。

そして執行刑務官が死刑囚に対して『何か言い残す事は無いか』と聞く。

死刑囚が話し終えた後、執行刑務官はボタン室へ手で最期の合図をすると、室内にある赤いランプが点灯し、3人の刑務官達が執行ボタンを押す。

油圧装置がプシュー!と音をたてて踏み板が素早く開き、首にロープを掛けられた死刑囚は一瞬で地下に落下していく。

死刑囚は落下した反動で上に跳ね上がった後、時計の振り子のように左右に体が揺れるため、あらかじめ地下で待機していた刑務官が、それをうまく受け止めるようになっている。

↑※これは刑務官の間で一番辛い任務だと言われている。

死刑囚は落下の衝撃による延髄損傷、頸骨骨折等で首が約30cm伸びきって絶命するが個人差があるため5~20分間はそのままにされる。

その後、立ち会っていた医師、検察官が検死を行い、確かなる死を確認した後、法律の規定により、更に5分間そのままの状態にされる。

そして立ち会っていた検察事務官らによる執行終了の書類が製作、捺印された後、立会人らには少量の酒が振る舞われて完全に執行任務が終了となる。


《執行終了後》

執行任務に携わった刑務官達には【死刑執行手当て2万円】が【手渡し支給】され、すぐに終業となり帰宅が許される。

↑※振り込みの場合、刑務官達の家族に死刑立ち会いについて気付かれてしまうため。

この執行手当てで、そのまま街へ飲みに行く刑務官も居るが、手当て全額を死刑囚の【供養】に使う刑務官も多い。

死刑囚の遺体は、入所時にあらかじめ決めていた引き受け人と【24時間以内】に連絡がとれると納棺、葬儀する事が可能だが、実際には拒否される事が多い。

その場合には刑事施設がそのまま葬儀、火葬、埋葬を行うようになっている。

また死刑囚の遺言や遺書により【献体】される事もあるという。

死刑囚の【戸籍】には『某〇〇施設にて〇時〇分に死亡。〇〇〇〇報告』と、施設の代表者が【個人名で報告記載】しており、死刑によるものとは一見では【判別出来ないよう配慮】されている。


以上が死刑執行までの流れだが、秘密行刑主義を一貫として取っている司法当局から、その詳細が公式に発表される事は殆ど皆無で、立会人も行政府に属する者のみと限られているので、まだ不明とされる部分が数多くあるのも事実である。